2021 年 12 巻 9 号 p. 1110-1116
はじめに:ナビゲーション手術が普及した現在においても,緻密な術前計画を立てることにより安全かつ確実な手術が可能となる.我々は医療画像解析ソフトを用いて詳細な術前シミュレーションを行っているので報告する.
対象と方法:VINCENT(Fuji film)を用いて主にCTでのthin sliceデータを再構成し任意のMPR像作成,仮想骨切除を行った.側弯を伴う症例では,術者が矢状断(sagittal),冠状断(coronal)面を操りスクリュー刺入面を描出した.この修正横断(axial)像を用いて測定した椎弓根径(Dm)20本分と通常のaxial像で計測値(Du)20本分を比較した.
結果:DmとDu差(Dm-Du)は平均0.69±0.09 mm(p<0.01)であり,Dmは有意に大きく,このソフトにより外側槐スクリューの設置計画,著明な脊椎変形に対するスクリュー設置計画を正確に行うことができた.
結語:画像を再構成することで3次元的な構造が把握し易くなった.アイデア次第でさらに応用できる可能性があり,症例に応じてソフトを有効活用すべきと思われた.