2022 年 13 巻 11 号 p. 1250-1257
はじめに:本研究では,骨粗鬆症患者の体格差と骨密度,腰痛,脊柱アライメントなどの患者特性との関係を調査した.
対象と方法:60歳以上の原発性骨粗鬆症女性患者144名を対象とし,骨密度,全身筋量と四肢筋量,脊椎矢状面アライメントパラメータ,栄養状態のControlling Nutritional Status(CONUT)スコア,Oswestry disability index(ODI)とVisual analogue scale(VASスコア)による腰痛スコアを評価した.BMIを20未満(やせ群),20以上25未満(標準群),25以上(肥満群)に分け,標準群を対照群として比較検討した.
結果:やせ群は標準群と比し,骨密度,脊柱矢状面アライメントのsagittal vertical axis,ODIスコア,VASスコアは有意に低値,CONUTスコアは有意に高値を示した.一方,肥満群は筋肉量において有意に高値であったが,その他の項目は有意な差は認められなかった.
結語:やせ患者において,低骨密度,低筋肉量,低栄養にもかかわらず,脊椎矢状面アライメントが保たれており,腰痛が少なかった.