Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
13 巻, 11 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
Editorial
原著
  • 茶薗 昌明
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1164-1170
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    医療経済的な視点から側弯症学校検診費用に関する文献調査を行った.各種検索エンジンを用いたスコーピングレビューに基づいて2000~2020年に掲載された国内外の文献を網羅的に渉猟した結果,検診費用の中央値は600円,Cobb角10°以上を発見する費用は2万円台,Cobb角20°以上では38万円台,手術患者1人発見する費用は109万円だった.側弯検診の成果を示す指標としての増分費用効果比(ICER)に関する研究は皆無であった.

  • 奥脇 駿, 小谷 俊明, 中山 敬太, 佐久間 毅, 飯島 靖, 赤澤 努, 南 昌平, 大鳥 精司, 山崎 正志
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1171-1176
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:思春期特発性側弯症(AIS)に関して,早期発見・治療を目的とした学校検診が重要である.しかし本邦では自治体毎に検診法は異なる.今回,紹介元の違いで術前患者を評価し学校検診の有効性を比較検討した.

    対象と方法:当院で手術を受けたAIS患者で,運動器検診に加えて客観的検査法を併用している地域からの紹介(X群),運動器検診のみの地域からの紹介(Y群)とした.患者背景を比較し,受診する契機が学校検診によるものか否かを調査した.

    結果:X群は117名,Y群は40名であった.X群で初診時の年齢が低く(p=0.012),受診契機が学校検診の割合が高く(p<0.001),初診時主カーブCobb角が小さかった(p<0.001).Y群で手術時の年齢は低く(p=0.011),術前の主カーブCobb角は大きかった(p<0.001).

    結語:運動器検診のみを行なっている地域からの紹介患者は,初診時の年齢が高く,初診時・術前の主カーブCobb角も大きかった.また,運動器検診のみの地域からの受診患者では,学校検診契機で受診する割合が低かった.客観的検査法を併用している地域の方が早期受診に寄与している可能性がある.

  • 山本 雄介, 重松 英樹, 川崎 佐智子, 須賀 佑磨, 池尻 正樹, 田中 康仁
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1177-1185
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:思春期特発性側弯症(AIS)に起因するウエストラインの非対称(WLA)は,患児自ら直接確認できるが,他覚的に定量的評価を行った報告は少ない.本研究の目的はWLAの定量的評価を行い,WLAが患児の自己イメージに与える影響を調査する事である.

    対象と方法:2013年から2019年に手術加療を行ったAIS女児32人を対象とし,術前と術後1年時に撮影した全脊椎立位正面像における体の非対称性を調査した.体の非対称性は,肩の高さの差,胸郭側方偏位,体幹バランス,WLAで評価した.WLAはウエストの高さの差(WHI),ウエスト側方偏位(WDI),ウエスト角度比(WAR)の3因子で評価した.100点満点に換算したSRS-22のSelf-imageスコアと最も関連する因子を重回帰分析にて解析した.

    結果:体幹バランスを除く全ての体の非対称性とSelf-imageスコアは術後1年時に有意に改善した.Self-imageスコアに有意に関わる因子として,WLAを構成する全ての因子が抽出された.Self-imageスコアの予測式は,Self-imageスコア=93.7-0.41×|WHI|-0.65×|WDI|-0.76×|WAR|となった.

    結語:WLAはSelf-imageスコアと有意に関連していた.患児の自己イメージ改善にはWLAを正常化させることが重要である.どのような手術がWLAを正常化させるのか,今後の研究課題である.

  • 加藤木 丈英, 奥村 太朗, 小谷 俊明, 佐久間 毅, 飯島 靖, 南 昌平
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1186-1194
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究では,術後2年経過した思春期特発性側弯症(AIS)患者における脊椎固定術がグローバルな脊椎可動性に及ぼす影響と健康関連QOLを調査した.

    対象と方法:対象は後方矯正固定術を施行したAIS患者35例である.体幹可動性検査(前屈・左右側屈・伸展)とSRS-22を行った.最固定下端椎体(LIV)高位でT群10例(LIVがL1以上)と,T+L群25例(LIVがL2以下)の2群で検討した.さらに前屈ではLIVがL2以上群とL3以下群に分け検討した.比較内容は,2群間の脊椎可動性とSRS-22である.

    結果:術後2年では,前屈を除き術前レベルまで改善した.T群とT+L群の術後2年では,左側屈と前屈に有意差を認めた.術後2年では,SRS-22スコアのFunctionでT群とT+L群との間に有意差を認めた.

    結語:LIVがL2以下となると術後2年が経過してもLIVがL1以上の群と比較して有意に可動性低下があった.前屈は,LIVがL2以上群では術前よりも有意に改善したが,LIV高位との相関を認めなかった.SRS-22のFunctionでもLIVがL2以下の群では有意な低下を認めた.

  • 田内 亮吏, 小原 徹哉, 瀧村 浩介, 細川 佑太, 岩沢 太司, 竹市 陽介
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1195-1201
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    思春期特発性側弯症Lenkeタイプ5Cカーブに対して,第3腰椎を下端椎とした選択的腰椎固定術を行い,胸腰椎/腰椎:胸椎コブ角比により術後固定遠位隣接椎間板角の評価を行った.56例中6症例(10.7%)で,遠位隣接椎間板角の10度以上の楔状化を認めた.Risser sign 4以上,胸腰椎/腰椎:胸椎コブ角比が1.5以上の症例においても,骨成熟度が未熟な場合,経過観察中に胸椎カーブの進行と遠位椎間板角の楔状化をきたす可能性がある.また,胸腰椎/腰椎:胸椎コブ角比1.3前後の症例に関しても,胸椎カーブの残存により隣接椎間板の楔状化が起きる可能性があり,その選択には注意を要する.

  • 増田 佳亮, 重松 英樹, 田中 誠人, 奥田 哲教, 川崎 佐智子, 須賀 佑磨, 山本 雄介, 池尻 正樹, 撫井 貴弘, 田中 康仁
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1202-1205
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:特発性側弯症の手術において,遠位の固定端を決定するためにend vertebrae(EV),neutral vertebrae(NV),stable vertebrae(SV)という指標が用いられている.それらの指標の信頼性に関しては過去に報告があるが,カーブタイプごとの信頼性の報告はない.

    本研究の目的は特発性側弯症のカーブタイプ別の尾側EV,NV,SVの検者間・検者内信頼性を検討することである.

    対象と方法:当院の外来を受診した特発性側弯症患者のうち,胸椎カーブを有する患者20名,腰椎カーブを有する患者18名を対象とした.2人の整形外科医(1人が非専門医,1人が脊椎脊髄外科指導医)がそれぞれ患者の全脊椎立位正面のレントゲン画像から尾側EV,NV,SVを識別し,それらの検者間・検者内信頼性を評価した.

    結果:胸椎カーブにおける検者間のκ値はEVで0.49,NVで0.58,SVで0.50であり,非専門医における検者内のκ値はEVで0.92,NVで0.88,SVで0.94であり,脊椎脊髄外科指導医においてはEVで0.48,NVで0.68,SVで0.65であった.腰椎カーブにおける検者間のκ値はEVで0.67,NVで0.45,SVで0.61であり,非専門医における検者内のκ値はEVで0.45,NVで0.42,SVで0.64であり,脊椎脊髄外科指導医においてはEVで0.68,NVで0.57,SVで0.61であった.

    結語:検者内信頼性・検者間信頼性は胸椎カーブ,腰椎カーブの双方で高かった.AIS固定端決定におけるEV,NV,SVの評価はカーブの部位にかかわらず信頼性の高い評価方法である.

  • 岩沢 太司, 小原 徹哉, 田内 亮吏, 瀧村 浩介, 細川 佑太, 竹市 陽介
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1206-1211
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    思春期特発性側弯症(AIS)後方矯正固定術後に,大動脈に近接する椎体がどのように変化をきたしているかの検討を行った.2015年1月から2016年12月までにAISに対して当院で後方矯正固定術を施行した120例中,術前,術直後および術後2年目に骨癒合評価目的にCTを撮像されていた42例を調査した.平均年齢15.5歳(男性2例,女性40例),主カーブ平均Cobb角50.4°であった.手術直後は椎体変形を認めなかったが,手術2年後のCT水平断像で椎体前面に2 mm以上の陥凹を認めた症例を変形ありと定義した結果,変形を認めた症例は20例(47.6%,全例女性)であった.Lenkeタイプ5と6に関しては,全例椎体に変形を認めた.椎体変形有り群と無し群において,各種レントゲンパラメーターを比較すると,術前TLKが前弯傾向であり,術後TLKは有意に前弯を認めていた.AIS術後の椎体,特に胸腰椎移行部の椎体前面は大動脈に近接しているために,経時的に椎体が陥凹変形をきたす可能性がある.そのため,経過観察中に左側ペディクルスクリューの先端が結果的に突出する形となり,大動脈に接触する危険性があり,その長さや位置に注意を要する.

  • 細川 佑太, 小原 徹哉, 田内 亮吏, 瀧村 浩介, 岩沢 太司, 竹市 陽介
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1212-1216
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    思春期特発性側弯症(AIS)における出血量に関して,過去に複数の要因が関連すると報告されている.今回,われわれは矢状面アライメントが出血量に影響すると仮定し,術中出血量との関係を評価した.当院で2010年から2020年までに,主カーブCobb角40~60°のLenkeタイプ1および2のAISに対して手術を施行した12歳から20歳の患者270例を対象とした.検討項目は性別,BMI,固定椎体数,手術時間,術中出血量(Intraoperative blood loss:IBL),術中出血量/循環血液量(blood volume:BV BV=体重×75 mLとして計算),主カーブCobb角,胸椎後弯角(TK;T5-12)とした.循環血液量の40%をこえる出血を大量出血群,40%以下を非大量出血群として,各パラメーターとの関連を調査した.またTKが0°以上,0°未満でもわけても調査した.性別,BMI,固定椎体数,手術時間,主カーブCobb角,TKが出血量と関連することがわかった.TK 0°未満の群と0°以上の群で出血量を比較すると0°未満の群で出血量が多かった.AIS Lenkeタイプ1および2の矯正手術における出血量は胸椎前弯に関連しており,胸椎前弯を認める症例では出血により注意が必要である.

  • 吉江 範親, 圓尾 圭史, 有住 文博, 木島 和也, 楠川 智之, 橘 俊哉
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1217-1222
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:腰椎変性側弯症における自然経過および保存治療の報告は散見されるが重度成人脊柱変形の保存治療に関する報告は少ない.本研究の目的は当科における同変形の保存治療を検討することである.

    対象と方法:当科で重度成人脊柱変形(Schwab分類でCobb角30°以上もしくはPI-LL>20°,SVA>9.5 cm,PT>30°)で2年以上の経過観察を行った27例(平均年齢:71歳)を後ろ向きに検討した.平均経過観察期間は5.4年で初診時と最終経過観察時で臨床評価(ODI,VAS,JOABPEQ)及び画像所見(Cobb角,全脊椎アライメント,側方すべり)を評価し,サブ解析としてCobb角≧30°群に関して検討した.

    結果:Cobb角は全体で1.6°/年の進行を認め,下肢痛及びしびれが有意に増悪した.JOABPEQの歩行機能・心理的障害が有意に低下するもMCID20以上の低下は認めなかった.画像所見ではTPA,SVAで増悪を認めた.Cobb角≧30°群では同角は2.4°/年の進行を認めた.

    結語:重度成人脊柱変形では5年間で画像所見はやや増悪を認めるも,臨床評価では増悪を認めなかった.

  • 千葉 恒, 小林 徹也, 今井 充
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1223-1228
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成人脊柱変形においてX線計測項目を用いた検討の報告は多いが,体幹機能の縦断変化も含めた報告は見受けられない.本研究の目的は,体幹機能および脊柱骨盤矢状面アライメントの縦断変化を検討することである.

    対象と方法:2010年から2020年の間に,住民脊柱検診に参加した中高齢女性のうち,初回検診(平均年齢65.2歳)から5年以上経過後に再度検診(平均年齢71.3歳)に参加した89名,平均6年間の縦断変化を調査した.X線項目は,SVA,TK,LL,SS,PT,PIを計測した.身体機能項目は,腹筋力および背筋力,脊柱背屈可動域,立位時および歩行時の体幹前傾角,FRT,BMI,腰痛VAS,HRQOLを評価した.各評価項目を初回検診時と再検診時で,比較検討した.

    結果:身体機能項目では,腹筋力および背筋力が初回検診時に比べ再検診時で有意に低下,立位時および歩行時の体幹前傾角では有意に増加していた.X線計測項目では,SVAおよびPTで初回検診時に比べ再検診時で有意に増加,LLおよびSSでは有意に減少していた.

    結語:身体機能の中でも体幹筋力低下と立位・歩行時の体幹前傾姿勢の増大が脊柱骨盤矢状面アライメントの変化と並行して起こっていることが明らかとなった.

  • 寺尾 貴史, 山内 芳宣, 蔵川 拓外, 伊藤 雅明, 鈴木 哲平, 川北 晃平, 宇野 耕吉
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1229-1236
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成人脊柱変形(ASD)術後早期のリハビリテーションは日常生活動作(ADL)の回復に影響するとされているがその報告は少ない.今回ASD術後早期のADL自立度が術後2年の健康関連QOL(HRQOL)に与える影響を調査した.

    対象と方法:2011年から2018年の間にASDと診断され,術後2年以上の経過観察が可能であった48症例を対象とした.術後1ヶ月のBarthel Indexが85点以上の自立群34例と80点以下の介助群14例の2群に分け,X線パラメータ(SVA,LL,PT,PI)を2群間で比較した.さらに,術前から術後2年のHRQOLをODIとSRS22で分析した.

    結果:術前BI・ODI・X線パラメータは2群間で有意差を認めなかったが,術前の年齢とSRS22の疼痛及びメンタルヘルスのドメインは,自立群に比べて介助群で有意に低かった(p<0.05).術後X線パラメータは2群間で有意差を認めず,また,両群とも手術により有意に改善していた.

    結論:術前の年齢が高く,疼痛が強く,精神的に不安定な患者は,術後早期のADL自立が獲得できず,かつ,術後2年の健康関連QOLにも影響していた.

  • 圓尾 圭史, 有住 文博, 木島 和也, 吉江 範親, 楠川 智之, 橘 俊哉
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1237-1242
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成人脊柱変形(ASD)術後のproximal junctional kyphosis,failure(PJK/PJF)を予防するため固定近位端(UIV)付近への棘突起ポリエチレンテザーの効果を後ろ向きに検討した.

    対象と方法:当院でASD手術を行った87例を対象とした.棘突起ポリエチレンテザーを使用した群(Tether weave technique:TW群)が21例で使用していない66例を対照群とした.TW群はUIV頭尾側の棘突起3椎体にポリエチレンテープを8の字に通してロッドにクランプで固定した.2群間でPJFの頻度,年令,性別,術式,X線パラメータ(TK,LL,PI,PT,SVA)を比較検討した.

    結果:PJFは対照群で36%がTW群では24%と減少傾向を認めたが有意差を認めなかった(P=0.278).年齢(TW群71.6歳,対照群71.6歳,P=0.486),性別(女性TW群71%,対照群77%,P=0.585)は2群間で有意差を認めなかった.UIVのフック使用(TW群10%,対照群70%,P<0.001),チタンロッド使用(TW群100%,対照群74%,P=0.009),ロッド径6 mm(TW群71%,対照群8%,P<0.001),骨盤固定(SAI使用TW群100%,対照群67%,P=0.009)は2群間で有意差を認めた.X線パラメータはすべて2群間で有意差を認めなかった.

    結語:棘突起ポリエチレンテザーはPJFの発症を有意に減少させなかったが,PJFの原因は多因子で術式が不均一であり経過観察期間も短いため今後さらなる検討が必要である.

  • 平中 良明, 鈴木 哲平, 川北 晃平, 伊藤 雅明, 宇野 耕吉
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1243-1249
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成人脊柱変形手術において,複数ロッド固定は早期のロッド折損を予防できるかを調査した.

    対象と方法:対象は成人脊柱変形に対し,骨盤アンカーを用いた矯正固定を行い,術後1年以上経過観察可能であった90例.3本以上のロッドを用いた症例をM群,2本ロッドをT群と定義した.患者背景因子,手術関連因子,術前後の単純X線パラメータおよび臨床評価に加え,術後1年以内のロッド折損,PJKおよび再手術の有無を調査し,これらを2群間で比較検討した.

    結果:M群,T群ともに45例であった.手術関連因子ではM群で有意にSacral alar-iliacスクリューの本数が多かった(p=0.002).術前単純X線パラメータはPIおよびPTがそれぞれT群で有意に高値であった(p=0.014,p=0.018).術後臨床評価ではSRS-30 FunctionドメインおよびPainドメインがそれぞれM群で有意に高値であった(p=0.032,p=0.015).PJKおよび再手術率には2群間に有意差は認めなかったが,ロッド折損はT群で有意に多かった(M群0%,T群13%:p=0.01).

    結語:短期的ではあるが複数ロッド固定は明らかな不利益なくロッド折損を有意に減少させた.

  • 井上 翔, 宮城 正行, 村田 幸佑, 藤巻 寿子, 小山 智久, 川久保 歩, 大鳥 精司, 稲毛 一秀, 内田 健太郎, 髙相 晶士, ...
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1250-1257
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究では,骨粗鬆症患者の体格差と骨密度,腰痛,脊柱アライメントなどの患者特性との関係を調査した.

    対象と方法:60歳以上の原発性骨粗鬆症女性患者144名を対象とし,骨密度,全身筋量と四肢筋量,脊椎矢状面アライメントパラメータ,栄養状態のControlling Nutritional Status(CONUT)スコア,Oswestry disability index(ODI)とVisual analogue scale(VASスコア)による腰痛スコアを評価した.BMIを20未満(やせ群),20以上25未満(標準群),25以上(肥満群)に分け,標準群を対照群として比較検討した.

    結果:やせ群は標準群と比し,骨密度,脊柱矢状面アライメントのsagittal vertical axis,ODIスコア,VASスコアは有意に低値,CONUTスコアは有意に高値を示した.一方,肥満群は筋肉量において有意に高値であったが,その他の項目は有意な差は認められなかった.

    結語:やせ患者において,低骨密度,低筋肉量,低栄養にもかかわらず,脊椎矢状面アライメントが保たれており,腰痛が少なかった.

症例報告
  • 大里 倫之, 川上 紀明, 斎藤 敏樹
    2022 年 13 巻 11 号 p. 1258-1263
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2022/11/20
    ジャーナル フリー

    早期発症側弯症における手術治療としてGrowing rod(GR)手術が普及し側弯治療に重要な役割を果たしている.成長を温存できる一方でその欠点として複数回手術による合併症や,instrumentation failureなどの報告が散見される.症例は7歳11ヶ月男児.生後他院にてMarfan症候群類似疾患及び,症候群性側弯症と診断.保存治療施行も側弯憎悪進行を認め,4歳11ヶ月に当科初診.7歳4ヶ月時にGR手術を施行したが術後6ヶ月でロッド折損を認めたため再手術を施行した.早期発症側弯症におけるGR手術は側彎の矯正と成長温存を両立する意味で意義のある治療法であるが,その反面複数回手術による弊害や感染,instrumentation failureの報告が散見される.今回GR手術を施行したが,術後早期にロッド折損を生じた1例を経験したのでその原因を含め文献的考察を交え検討報告する.

feedback
Top