Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
骨粗鬆症性椎体骨折後後弯変形に対するlateral access surgeryによる手術戦略
石田 鴻晟石原 昌幸谷口 愼一郎足立 崇朴 正旭谷 陽一田中 貴大川島 康輝政田 亘平安藤 宗治齋藤 貴徳
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2023 年 14 巻 10 号 p. 1308-1317

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抄録

目的:骨粗鬆症性椎体骨折後後弯変形(kyphotic deformity after osteoporotic vertebral fracture KDOVF)に対する側方経路腰椎椎体間固定術(LLIF),lateral access corpectomy(LAC),anterior column realignment(ACR)等のlateral access surgery(LAS)の臨床成績を検討した.

対象及び方法:2019年以降当院にてKDOVFに対してLASを行い,24ヶ月以上経過観察可能であった23名を対象とした.検討項目は手術方法,骨折椎体レベル,局所後弯角(local kyphosis LK),固定椎体数,骨癒合率,cement augmentation(CA)併用の有無,合併症とした.

結果:術式はLLIFが6例(L群),LACが14例(C群),ACRが3例(A群)であった.骨折椎体レベルはL群でL1からL4,C群はT12,L1が最多であり,A群はL2,3のみであった.出血量及び手術時間においてC群が有意に多く,固定椎体数は3群間で有意差はなく,CAはL群及び,C群で2例,A群の1例で併用した.LKは,3群いずれも術後有意に改善した.矯正損失はL群で約1度,C群で2.4°,A群で3°でありL群で有意に低かった.最終的な平均矯正量はL群11度,C群25°,A群18°でありC群はL群と比較し有意に大きかった.骨癒合率は1年でA群が低い傾向にあったが有意差はなく,術後18ヶ月では3群とも90%以上で認めた.合併症はC群で終板損傷を1例,またcage subsidenceをA群で1例認めた.C群では胸膜損傷を4例,proximal junctional failureを1例認めたが,再手術を要した症例はなかった.

結語:KDOVFに対するLASの臨床成績を調査した.3群とも概ね良好な結果がえられた.骨脆弱性の強い病態であるKDOVFに対して支持面積の大きい強力な前方支柱再建が可能であるLASは有用な術式といえる.

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© 2023 Journal of Spine Research編集委員会
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