2023 年 14 巻 11 号 p. 1354-1359
2016年から,運動器検診が開始された.運動器検診は,成長発達の過程にある児童生徒等の脊柱・胸郭・四肢・骨・関節の疾病及び異常を早期に発見することにより,生涯にわたる健康づくりに結び付けることが目的である.運動器検診は,運動器に関心を持ってもらうよう家庭での運動器検診保健調査票の記入から始まる.その調査票を参考にして学校医による運動器検診が行われ,運動器の異常が疑われる場合は整形外科受診勧告が行われる.
運動器検診の結果を見ると,整形外科受診勧告理由で最も多いのが,側弯症の疑いである.しかしながら,学校医の主体が運動器の専門でない内科・小児科医であり,脱衣の問題もあり過度の負担をかけている可能性がある.整形外科医が学校医として参加できるようにすることや,モアレ等の補助検査機器の導入を行い学校医の負担を軽減するなどの検討が必要であると思われる.また,受診勧告されても未受診例も多く,検診体制にも工夫が必要と思われる.