背景:成人脊柱変形手術の術後腰痛が改善するか後ろ向きに検討した.
方法:成人脊柱変形で胸椎から5椎間以上の矯正固定術を行い2年以上経過観察した63例を対象とした.臨床成績はJapanese Orthopaedic Association Back Pain Evaluation Questionnaire(JOABPEQ),visual analog scale(VAS),Oswestry Disability Index(ODI)を術前,最終経過観察時に調査した.レントゲンパラメータを術前,術直後,最終経過観察時に計測した.腰痛VAS50 mm以上を遺残性腰痛として年齢,性別,手術関連因子,レントゲンパラメータ,臨床成績を2群で比較した.遺残性腰痛の有無を従属変数,患者背景因子,手術関連因子,レントゲンパラメータを説明変数としてロジスティック回帰分析を行った.
結果:腰痛は平均VAS71.4 mmから36.6 mmに有意に改善し,ODIは52.5%から35.2%に有意に改善した.JOABPEQは腰痛機能障害以外ですべての項目が有意に改善していた.遺残性腰痛群は33%(21例)に認め2群間の比較では患者背景因子,手術関連因子で有意差は認めなかった.術前後の腰痛VAS,ODIは遺残性腰痛群で有意に高く,JOABPEQのすべての項目で遺残性腰痛群が有意に低かった.ロジスティック回帰分析では遺残性腰痛の独立予測因子を認めなかった.
結語:成人脊柱変形術後の腰痛は71.4 mmから36.6 mmに有意に改善し,遺残性腰痛は33%に認めた.
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