2023 年 14 巻 5 号 p. 803-809
はじめに:運動器検診で指摘される姿勢異常において,側弯症以外に体の硬い前屈制限児も数多く認め,アライメント異常や脊椎変形が報告されている.本研究の目的は前屈制限児の頚椎後弯に対する胸椎後弯角の関連と年齢によるアライメント変化を明らかにすることである.
対象と方法:運動器検診で前屈制限ありとして二次検診で当院を受診した前屈制限例(SLR<45度)105例を検討した.年齢は平均11.2歳(7~15歳),性別は女子48名,男子57名である.評価は全脊柱レントゲン(AeroDR system)での頚胸椎後弯角を年齢別,性別で検討した.
結果:頚椎は平均で2.8度の前弯,胸椎は21.5度の後弯であった.頚椎後弯角と胸椎後弯角には相関を認め,年齢とともに頚椎の前弯は減少し平均では12歳以上で後弯となっていた.
結語:頚椎は症例の86%が正常平均の前弯17度以下であり,胸椎も症例の97%が正常平均の後弯35度以下であった.この頚椎後弯化は年齢ともに顕著となっていた.胸椎後弯角と頚椎後弯角は逆相関しており,運動器検診で指摘される前屈制限児の胸椎後弯減少に注目し頚椎後弯アライメント異常を指摘できる可能性がある.