2023 年 14 巻 6 号 p. 831-837
脊椎疾患の画像診断において,まず行われることが多い単純X線画像の読影は重要であるが,非専門医による読影は精度が高くないことが知られる.しかしながら,臨床では救急医療やへき地医療など,必ずしも脊椎疾患の画像診断に精通した医師による診察を受けられるわけではなく,需給のミスマッチが生じる場合がある.人工知能(AI)を用いた画像診断はこうしたミスマッチを是正する可能性のある新規医療技術であるが,脊椎疾患の画像診断精度は不明である.椎体骨折患者および頸椎後縦靭帯骨化症患者の単純X線を用いて,AIに画像診断を学習させ,それぞれ正診率86.0%および98.9%であり,脊椎疾患の画像診断にAIが有用である可能性が示唆された.