はじめに:Vertebral Bone Quality(VBQ)scoreはmagnetic resonance imaging(MRI)T1強調像を用いた骨質評価方法として近年報告された.本研究はVBQ scoreとdual energy x-ray absorptiometry(DEXA)との関係,また骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)発症との関連を検討することを目的とした.
対象と方法:2021年1月から2022年12月までで当院でDEXAを施行した257例のうち,3ヶ月以内に腰椎MRIを撮影し,感染性疾患,腫瘍性病変,腰椎固定術後症例を除外した99例を対象とした.T1強調像矢状面正中スライスでL1~L4椎体海面骨とL3椎体背側の脳脊髄液(CSF)のsignal intensity(SI)を測定し,L1~L4椎体海面骨のSIの中央値をCSFのSIで除した値をVBQ scoreとした.またMRIで既存骨折も含めたOVFを認めるものをOVFあり群(45例),それ以外をなし群(54例)とし,比較検討した.
結果:平均年齢は78歳(女性73%),平均VBQ scoreは3.7±0.6であった.VBQ scoreはlowest T-score,腰椎bone mineral density(BMD),大腿骨近位部BMDと負の相関を認め,OVFあり群では有意に年齢,VBQ scoreが高く,T-score,BMDは有意に低値であった.目的変数をOVFの有無,説明変数を年齢,性別,lowest T-score,body mass index(BMI),VBQ scoreとした多変量ロジスティック回帰分析ではVBQ scoreが独立した関連因子となった.
結語:本研究ではVBQ scoreはT-score,BMDと相関関係を認め,有用なOVF予測因子となる可能性が示唆された.
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