2024 年 15 巻 2 号 p. 78-83
はじめに:偽性偽性副甲状腺機能低下症(pseudopseudohypoparathyroidism:PPHP)はAlbright's遺伝子骨形成異常症(Albright's hereditary osteodystrophy:AHO)と呼ばれる身体的特徴および精神発達遅滞を呈する病態である.PPHPは多彩な骨病変を呈し,脊椎の骨棘や靭帯骨化は脊柱管狭窄の原因となる.
症例:患者は72歳女性で脊髄神経圧迫による四肢神経症状,歩行障害を認め当院紹介となった.画像所見では環椎レベルの骨棘による脊柱管狭窄があり,胸椎レベルでは骨棘と黄色靭帯骨化による脊柱管狭窄を認めた.失調性の歩行障害は増悪し車椅子が必要となり,入院後手術加療となった.手術は環椎レベルでの病変に対して除圧術を行い,胸椎病変に対して除圧術および脊椎固定術を行った.術後経過は良好で杖歩行で退院した.
結語:脊椎黄色靭帯骨化と骨棘により脊柱管狭窄を合併したPPHPの1例を経験したので報告する.