はじめに:脊髄髄膜瘤に伴う脊柱変形では,腰背部軟部組織の菲薄・瘢痕拘縮化があり,後方矯正固定術後に創治癒不全が生じることがある.
症例:症例1:10歳女性の後弯変形例.後弯部切除とともに後方矯正固定術(T5-腸骨)を行った際,閉創困難であったため,左広背筋を含めた回転皮弁術を施行した.しかし,術後に皮弁辺縁の壊死と創離開が生じた.術後7日目に洗浄・デブリードメントとともに,右大殿筋穿通枝皮弁を用いて創閉鎖した.
症例2:35歳女性の側弯症術後遺残変形例.小児期に胸腰椎前方矯正固定術(T9-L2)を受け,30歳より血液透析が導入されていた.後側弯矯正手術(T3-腸骨)を行い創閉鎖はできたが,術後5日目で同部位の皮膚壊死と創離開が生じたため,洗浄・デブリードメントとともに右大臀筋穿通枝皮弁を用いて創閉鎖した.
いずれも再手術後は深部感染を発症することなく,創治癒を得ることができた.
結語:大殿筋穿通枝皮弁は,脊髄髄膜瘤に伴う脊柱変形に対する後方矯正固定術後の創治癒不全に対して創治癒に有効なサルベージ手技である.
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