Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
腰仙椎固定術が術後の日常生活(ADL)に及ぼす影響―固定椎間数と脊椎不撓性ADL指数―
谷 陽一中 信裕小野 直登川島 康輝朴 正旭石原 昌幸足立 崇谷口 愼一郎安藤 宗治齋藤 貴徳
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 15 巻 9 号 p. 1157-1164

詳細
抄録

はじめに:脊椎固定術は腰痛や下肢症状の改善をもたらす一方で,必然的に可動椎間減少によるADL障害を伴う.本研究は固定椎間数と術後の脊柱可動性減少(不撓性)によるADL障害との関係を調査した.

対象と方法:対象は脊椎椎固定術を施行し術後1年以上経過した189例で,固定椎間数,術前後のLSDI,ODIを検討した.

結果:腰椎固定1椎間(A群)は45例,2椎間(B群)33例,3椎間(C群)38例,4~5椎間(D群)34例,胸椎から骨盤までのlong-segment fusion(E群)39例であった.ODIはE群を含むすべての群において術後有意に改善した.一方,LSDIはE以外の群ではいずれも術後有意に改善したが,E群では有意に悪化した.

結語:A~D群では固定術本来のADL改善効果が脊柱不撓性によるADL障害を相殺し,むしろそれを上回るが,E群ではその相殺効果が不十分となり得ると考えられる.従って,ASDに対してlong-segment fusionを行う際には,術後,脊柱不撓性によるADL障害がより明確に自覚される可能性があり,術前のインフォームドコンセントにその点を含めることが重要であると考えられる.

Fullsize Image
著者関連情報
© 2024 Journal of Spine Research編集委員会
前の記事 次の記事
feedback
Top