Journal of Spine Research
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Print ISSN : 1884-7137
原著
手術部位感染の指標としてのリンパ球減少における注意点~リンパ球数は術前の低栄養・併存疾患に左右される~
今林 英明藤井 武増渕 茉侑
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2025 年 16 巻 1 号 p. 33-38

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抄録

はじめに:脊椎手術後の末梢血リンパ球数減少(<1,000/uL)は手術部位感染(surgical site infection:SSI)の指標とされるがSSIでない症例を経験する.非感染群における術後7日目のリンパ球減少に関連する因子を検討した.

対象と方法:対象は脊椎手術329例(SSI:9例),術前・術後2/7/14日目の末梢血リンパ球数減少(<1,000/uL)・リンパ球数・白血球との比率(リンパ球比率)についてSSI群と非感染群間の有意差を検証した.術後7日目のリンパ球減少に関連する術前リンパ球数を算出,その値に関連する既往・併存疾患を検索した.

結果:2群間比較でリンパ球比率のみ有意差を認めた.術前リンパ球数のcut off値は1,386/uLで,非感染群における術前リンパ球低値群(<1,386/uL)は周術期全般でリンパ球数は低値で推移し,術前低蛋白・免疫抑制剤・腎障害が関連因子であった.

結語:術前低栄養・併存疾患が関連するリンパ球数低値を呈する群が存在し,術後7日目のリンパ球減少はこれら非感染群に留意する必要がある.

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© 2025 Journal of Spine Research編集委員会
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