2025 年 16 巻 5 号 p. 803-812
はじめに:本研究の目的は,慢性腰痛患者に対するストレッチ,体幹筋強化,マッケンジー法(以下,MDT)を併用した運動療法の有効性について検討することである.
対象と方法:本研究は後ろ向きコホート研究である.対象は,3ヶ月以上の慢性腰痛を有しており,当院で定期的な外来通院での運動療法を実施した腰椎変性疾患患者410例とした.運動療法でストレッチ,体幹筋強化にMDT併用の有無で群分けした(MDT併用なし群:238例,併用あり群:172例).初回から運動療法開始1ヶ月,3ヶ月における臨床成績を腰部痛・下肢痛VAS,ODI,JOABPEQで比較した.
結果:両群ともに腰部痛・下肢痛VAS,ODI,JOABPEQの各スコアは初回から1ヶ月,3ヶ月で有意な改善がみられた.MDT併用あり群はMDT併用なし群に比べ,JOABPEQ歩行機能障害スコアの獲得点数は,1ヶ月,3ヶ月で有意に大きかった.
結語:慢性腰痛に対してストレッチ,体幹筋強化にMDTを併用した運動療法を実施することは,併用しない場合と比較して歩行機能障害が改善していたことからQOLの改善に有効な可能性がある.