2025 年 16 巻 9 号 p. 1224-1233
はじめに:脊髄腫瘍を診断するために,患者情報と画像を統合して解析するバイモーダルAIを提案した.
対象と方法:我々のモデルは,表形式データ用の最先端の深層学習モデルであるTabNetと,画像を解析する畳み込みニューラルネットワークを組み合わせたものである.学習データとして,259人の脊髄腫瘍患者(神経鞘腫158人,髄膜腫101人)を収集した.MRI画像のみを解析するユニモーダルモデル,患者情報のみを解析するユニモーダルモデル,勾配ブースティング決定木を用いたバイモーダルモデル,TabNetを用いたバイモーダルモデルの性能を比較した.
結果:TabNetを用いたバイモーダルモデルは,トレーニングデータにおいて最も良好な結果を示し(area under the receiver-operating characteristic curve[AUROC]:0.91),医師の読影結果を有意に上回った.他2施設から収集した62症例を用いた外部検証でも,本バイモーダルモデルはAUROC 0.92を示し,モデルの汎化性が確認された.
結語:TabNetを用いたバイモーダルモデルは,脊髄腫瘍の鑑別に有効であった.