2025 年 16 巻 9 号 p. 1173-1180
はじめに:経仙骨的脊柱管形成術(TSCP)導入初期にカテーテル(カテ)損傷や癒着剥離困難症例を経験した.本研究の目的は,実施困難例の放射線学的特徴を調査することである.
対象と方法:対象は導入初期の37例である.
1)仙椎でのカテ挿入困難例の検討:挿入難度をGrade1~4で評価し,Grade4はL5/S1までカテを進められなかった症例とした.仙椎脊柱管最狭窄部前後径[A],仙椎後弯角[E],仙骨裂孔~S1後上縁間距離[C]を測定し,Grade間で比較した.
2)腰椎での癒着剥離困難例の検討:癒着剥離難度をGrade1~3で評価し,Grade3は剥離不能な症例とした.腰椎脊柱管断面積[D],%すべり率[E],椎間楔状角[F]を測定し,Grade間で比較した.
結果:1)[A]はGrade1と比べ3・4群で有意に小さく,Grade2と比較しても狭小化していた.2)[D]はGrade1と比べGrade2で有意に小さかった.
結語:実施困難例では仙椎脊柱管最狭窄部前後径および腰椎脊柱管断面積が小さかった.術前の画像評価は重要である.