抄録
本研究は鳥取市立病院緩和ケアチーム(以下,PCT)の臨床活動の結果を自己評価したオーディット研究である.PCTの医師・看護師・薬剤師・がん相談員は,病棟看護師・病棟薬剤師と,入院患者の疼痛治療を評価し,提案を行うオピオイド回診(以下,回診)を週1回行った.PCT介入例を除き,がん性疼痛緩和目的でモルヒネ,オキシコドンまたはフェンタニルを使用する入院患者を対象とした.提案は,WHO方式がん疼痛治療法に基づき,主治医には回診結果を伝えた.2009年9月の開始から4年経過し,回診継続により主治医の疼痛マネジメントに改善がみられたか分析した.PCTが1年間に行ったオピオイド回診総件数中に提案を行った件数の割合を比較すると,1年目16.7%,2年目12.6%,3年目8.1%,4年目7.5%と減少した.回診は,主治医に対する疼痛管理の適正化を目的とする活動として,一定の教育効果をもたらした可能性が示唆された.