2015 年 10 巻 3 号 p. 920-923
現在,世界的に「早期からの緩和ケア」を実践していくことが進められている.しかし,その実践には様々な課題がある.このような状況の中 Palliative oncologistという, Oncologyと緩和ケアの両方のトレーニングを受けた医師の養成が提案されている.川崎市立井田病院では,抗がん剤から病棟,緩和ケアチーム,在宅までひとつの部門で提供しており,このシステムを利用した研修プログラムが行われている.患者が抗がん剤治療中でも緩和ケアに専念してからも,訪問診療に移行しても,研修医が主治医になるといった特徴があり,早期から統合された診療を経験できる.早期からの緩和ケアを進めていくための人材として, Palliative oncologistの養成は日本でも有用な可能性があり,当院での研修プログラムはひとつのモデルとなる可能性がある.