抄録
【目的】進行がん患者の血液検査値のみを用いる生物学的予後スコアを開発し,妥当性を確かめた.【方法】緩和ケア病棟の患者(開発群)を対象に血液検査値,年齢,性別,がん種を独立変数,死亡を従属変数とするパラメトリック生存時間解析を行い生物学的予後スコアBiological Prognostic Score(BPS)を開発した.次に,異施設の積極的がん治療を終了または差し控えた患者(検証群)で前向きにBPS とPalliative Prognostic Index(PPI)の精度を検証した.【結果】開発群122 例よりコリンエステラーゼ,血中尿素窒素,総鉄結合能から成るBPS を得た.検証群195例で1-9 週生存予測のROC 曲線下面積はBPS=0.76-0.86,PPI=0.69-0.73 であった.【考察】BPS の妥当性が示唆された.今後,多施設での検証とTIBC に代わる一般的な項目の探索が必要である.