抄録
中等度から高度の癌性疼痛を対象にタペンタドール徐放錠(ER)50〜500 mg/日の有効性および安全性を多施設共同非盲検試験で検討した.タペンタドールERの開始量は,オピオイド新規導入患者では50 mg/日,オピオイド切り替え患者では,先行オピオイド鎮痛薬量に応じた投与量とし,患者ごとに用量調節した.投与期は用量調節期と用量調節を達成した患者が移行する用量固定期の二つから構成されており,用量調節を達成した患者の割合は,オピオイド新規導入患者で93.3%,オピオイド切り替え患者で80.6%であった.主要評価項目の用量固定期における疼痛コントロールを維持した患者の割合は,それぞれ,89.7%および92.9%であった.中等度から高度の癌性疼痛を対象としたタペンタドールERの忍容性は良好であり,主な有害事象は悪心,嘔吐,傾眠,便秘等のオピオイドに特徴的な事象であった.