Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
症例報告
希望聴取が困難な終末期肺がん患者に対するADLの観察および非言語的コミュニケーションを用いたリハビリテーション介入がQOLの向上に有用であったと考えられる1例
西山 菜々子安部 能成中嶋 真一郎
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2016 年 11 巻 2 号 p. 515-519

詳細
抄録

【緒言】進行がん患者とのリハビリテーション(以下リハビリ)の目的はQOLの向上であり,患者の希望を探ることから始まる.今回,希望聴取が困難な患者へのリハビリの工夫を報告する.【症例】83歳男性,肺腺がん,脳転移.化学療法,放射線療法を施行したが病勢は進行し,全身倦怠感と呼吸困難にて入院,その後当院緩和ケア病棟へ転院した.転院時,食事は自立,トイレ歩行は軽介助で可能だったが,てんかん発作を生じ右片麻痺と意識障害を呈した.ADLは全介助,意思疎通も困難だったが,患者はその状況下でも自分で食べようとした.作業療法士はADLの観察および非言語的コミュニケーションを用いて患者の希望を読み取り,これをもとにリハビリ介入を行った.その結果,より早期に食事動作が獲得され,患者の満足度は向上した.【考察】希望聴取が困難な場合でも,リハビリの知識や技術を活用することで,患者の希望を支えられる可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2016日本緩和医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top