【はじめに】がん疼痛悪化との鑑別に苦慮したデノスマブによる急性期反応の1例を報告する.【事例】65歳,男性.肺小細胞がん胸椎転移による右背部から上腹部にかけての疼痛緩和目的で緩和ケアチームに紹介された.デノスマブは4週毎,120 mg/回皮下投与された.初回投与翌日の発熱と全3回の投与において投与翌日から約4日間,既存の骨転移による疼痛と同部位の急激な疼痛悪化を認めた.アセトアミノフェン,非ステロイド性消炎鎮痛薬, オピオイドすべて無効で疼痛緩和に難渋したが,自然軽快した.がん疼痛との鑑別を要したが,投与毎に反復する経過からデノスマブの急性期反応と診断した.デノスマブ中止後,同様の疼痛悪化はみられず良好なコントロールが得られた.【考察】デノスマブの急性期反応における疼痛は見落とされている可能性がある.その詳細は明らかでなく,症例の集積が必要と考える.