Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
原著
ホスピス・緩和ケア病棟における患者と家族間の思いの言語化を支える家族支援─遺族調査による家族支援と「患者と家族との良好な関係性」および「ケアの全般的満足度」との関連性の検討─
中里 和弘塩崎 麻里子平井 啓森田 達也多田羅 竜平市原 香織佐藤 眞一清水 恵恒藤 暁志真 泰夫宮下 光令
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2018 年 13 巻 3 号 p. 263-271

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Abstract

【目的】1)緩和ケア病棟における患者と家族間の思いの言語化を支える家族支援(家族へのバーバルコミュニケーション支援)の有無と評価,2)家族へのバーバルコミュニケーション支援と「患者と家族との良好な関係性」および「ケアの全般的満足度」との関連を検討した.【方法】全国の緩和ケア病棟103施設における死亡患者の遺族968名に質問紙調査を実施した.【結果】536名を分析対象とした.支援を受けた遺族の割合は内容によって差がみられたが,評価は概ね高かった.重回帰分析の結果,患者と家族との良好な関係性では,全8つの支援で有意な正の関連が認められた.ケアの全般的満足度では,4つの支援(家族から患者への言語化の具体的提案,家族の思いを患者に伝える,患者の聴覚機能保持の保証,患者の思いを推察した家族への言葉かけ)で有意な正の関連が認められた(p<0.05).【結論】家族へのバーバルコミュニケーション支援の意義が示唆された.

緒言

終末期における愛する者とのコミュニケーションは親密な関係を強化する1)と同時に,愛を深め,不和を解決する最期の機会となる2).がん患者の会話機能は比較的最期まで維持されやすく3,4),患者と家族間のバーバルコミュニケーションは両者の関係性を繋ぐ重要な手段といえる.

終末期に患者と家族間で交わされるメッセージには,感謝,愛情,許しがあり57),思いを伝えることが患者のQOLに関連するとの指摘がある8,9).ただし,終末期のバーバルコミュニケーションは患者のみが求めるものではない.家族もまた患者との最期のコミュニケーションを求め10),終末期の会話は家族にとって死別後の心の安らぎとなる6,7).一方で,終末期では家族間の不和が顕在化することがあり11,12),思いを言葉にすることは必ずしも容易ではない.

終末期の患者を対象に,周囲に思いを伝えることを介入要素に含むセラピーには,Dignity Therapy13)やForgiveness Therapy14)があるが,患者と家族のバーバルコミュニケーションを支えるのはセラピーに限られたことではない.医療者は日々のケアの中で患者と家族のコミュニケーションを促進する役割を担っている15).医療者が実践する支援として,患者や家族に伝えたい思いを引き出す言葉かけをしたり,両者が伝えづらい思いを橋渡しするなどが考えられ,患者と家族のコミュニケーションを促すスキル16)や質問17),家族向けのパンフレット18)が提案されている.また臨終期の家族支援として,患者の聴覚機能の保持を保証することが臨床で広く受け入れられている19).ただし終末期の患者と家族に,医療者がどのようなバーバルコミュニケーション支援をどの程度行い,支援を行うことがどのような効果を及ぼすのか,量的データを用いた検証は十分になされていない.

本研究では,終末期の患者と家族のバーバルコミュニケーション支援について,支援対象(患者・家族)と行為の主体(発信・受信)の組み合わせから,以下の4つから理解する.①患者の発信支援(患者が家族に思いを発信するための支援),②患者の受信支援(患者が家族からの思いを受信するための支援),③家族の発信支援(家族が患者に思いを発信するための支援),④家族の受信支援(家族が患者からの思いを受信するための支援)である.

そこで本研究ではバーバルコミュニケーション支援の対象を家族に焦点化し,③家族の発信支援と④家族の受信支援を「患者と家族間の思いの言語化を支える家族支援(家族へのバーバルコミュニケーション支援と略)」と操作的に定義した.

本研究では遺族調査を基に,以下の2点から,家族へのバーバルコミュニケーション支援の実態を把握することを目的とした.1)緩和ケア病棟における家族へのバーバルコミュニケーション支援の有無とその評価を得る.2)家族へのバーバルコミュニケーション支援と「患者と家族との良好な関係性」および「ケアの全般的満足度」との関連性を検討する.支援の受け手である家族から支援の実態を把握することは,支援の振り返りに寄与すると共に,支援を行う際の配慮および改善点の整理に繋がる点において,終末期の家族支援のあり方を議論するうえで有益な資料を提示すると考える.

方法

本研究は,日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団の研究事業「遺族によるホスピス・緩和ケアの質に関する研究2(J-HOPE2)」20)の付帯研究として,2010年10月〜2011年1月に実施した.

対象と調査方法

対象施設は2010年1月1日時点でホスピス・緩和ケア病棟承認届出受理施設195施設中,J-HOPE2に参加同意した103施設であった.

2008年1月1日〜2009年12月31日までの死亡患者の遺族について,施設の研究担当者が,2009年12月31日を起点に後ろ向きかつ連続的に適格基準に基づき対象リストを作成後,除外基準により対象を選定した.対象者の適格基準は,①がん患者の遺族,②死亡時の患者年齢が20歳以上,③遺族の年齢が20歳以上,④入院から死亡までの期間が3日以上であった.除外基準は,①遺族の同定が不能,②遺族が認知症,精神障害,視覚障害などで調査票記入が不可能または③精神的に著しく不安定なため,研究参加が不適当と担当医が判断した者,④家族にがんの告知がされていなかった者とした.本研究の対象は,J-HOPE2の全対象者10,006名中,968名であった.

調査方法は郵送による質問紙調査であった.事務局から調査票一式を施設に送付し,施設から対象者に調査票一式を郵送した.返信先は事務局であり,調査票への回答をもって参加への同意とした.調査参加拒否の場合,調査票表紙の「調査への参加を希望しない」の選択肢に丸を付け,返信を依頼した.詳細はJ-HOPE2調査20)を参照のこと.

調査項目

1.家族へのバーバルコミュニケーション支援

家族へのバーバルコミュニケーション支援を包括的に評価する項目は見当たらないことから,付録表1の作成手続きに基づき,独自に8項目を作成した.家族の発信支援は,「家族が患者に伝えたい思いの傾聴(項目1)」「家族から患者への言語化の勧め(項目2)」「家族から患者への言語化の具体的提案(項目3)」「家族が思いを伝えやすい雰囲気づくり(項目4)」「家族の思いを患者に伝える(項目6)」「患者の聴覚機能保持の保証(項目8)」の6項目であった.家族の受信支援は,「患者の思いを推察した家族への言葉かけ(項目5)」「患者の思いを家族に教える(項目7)」の2項目であった.項目1と8は,家族の言語化を方向づける明確な発信支援ではないが,項目1は,家族が患者に思いを発信するための下地作り,項目8は,看取り期に家族が患者に思いを発信することに繋がる情報提供であることから,発信支援として採用した.

回答は,医療者からの支援の有無と評価を組み合わせた選択肢を設けた.緩和ケア病棟の入院中に医療者から各支援が「あった」場合は,支援が“1.助けになった” “2.やや助けになった” “3.必要なかった”の3つの選択肢から,「なかった」場合は,その支援が当時,“4.あったら良かったと思う” “5.特に必要としなかった”の2つの選択肢から,1つを選択するように求めた(付録表2).

2.患者と家族との良好な関係性

入院中の患者と家族との良好な関係性を評価する指標として,Good Death Inventory(GDI)21)のコアドメインの一つである「ご家族やご友人とよい関係でいること」の3項目を使用した.GDIは,遺族から患者の望ましい死の達成度を評価する尺度であり,日本人が望ましい死のあり方として,共通して重要だと考えるコアドメインの10領域,人によって重要さが異なるオプションドメインの8領域で構成されている.回答は“1.全くそう思わない”〜“7.非常にそう思う”の7件法であった.本調査で使用した3項目は,「患者様はご家族やご友人と十分に時間を過ごせた」「ご家族やご友人に十分に気持ちを伝えられた」「ご家族やご友人から支えられていた」であり,合計得点を用いた.得点が高いほど,入院中に患者が家族や友人と良い関係でいられたと解釈される.

3.ケアの全般的満足度

入院中のケアの全般的な満足度に関して,先行研究22,23)で使用されている1項目を用いた.「全般的にホスピス・緩和ケア病棟に入院中に受けられた医療は満足でしたか」の質問に対して,“1.非常に不満”〜“6.非常に満足”の6段階で評価を得た.

4.ホスピス・緩和ケア病棟におけるケアの質の評価

患者が入院中に受けたケアの質は,患者と家族との良好な関係性24),ケアの全般的満足度22)に影響を与える.ケアの質を評価する尺度として,ケアの構造・プロセスを評価するCare Evaluation Scale(CES)22)を用いた.CESは10領域28項目から構成されている.回答は「1.改善すべきところが大いにある」〜「6.改善すべきところがまったくない」の6件法であった.本調査では,全項目の合計得点を用いた.点数が高いほど,入院中に受けたケアの質が高かったと解釈される.

5.患者・遺族の情報

患者情報は,年齢,性別,原発部位,最終入院日,死亡日を施設から収集した.遺族情報は,年齢,性別,患者との続柄を調査票で回答を求めた.

解析方法

家族へのバーバルコミュニケーション支援の単純集計を算出した.各支援の有無の関連性を検討するため,選択肢1~3を選択した場合を「支援あり(1点)」,選択肢4または5を選択した場合を「支援なし(0点)」の2値に変換し,連関係数(φ係数)を算出した.家族へのバーバルコミュニケーション支援と「患者と家族との良好な関係性」および「ケアの全般的満足度」との関連性を検討するために,重回帰分析を行った.患者と家族との良好な関係性,ケアの全般的満足度を目的変数,家族へのバーバルコミュニケーション支援を説明変数とし,患者の性別・年齢,遺族の性別・年齢,患者との続柄,CESで調整した強制投入法による分析を行った.家族へのバーバルコミュニケーション支援は,選択肢1~3を選択した場合を「支援あり(1点)」,選択肢4または5を選択した場合を「支援なし(0点)」の2値に変換した.家族へのバーバルコミュニケーション支援は,項目間で強い連関が認められたことから(表1),全項目の同時投入による多重共線性を避けるため,支援ごとに個別分析を行った.有意水準は両側0.05未満とし,統計解析はSPSS Statistics ver.21.0(IBM)を用いた.

表1 家族へのバーバルコミュニケーション支援項目間のφ係数

倫理的配慮

対象者リストはID番号で管理し,調査項目の患者情報は匿名化されたうえで,施設から取集した.対応表は施設が管理した.事務局が調査票のID番号を基に,患者情報と調査票の回答を結合した.J-HOPE2研究事務局である東北大学大学院医学研究科の倫理委員会の承認,および研究参加施設の倫理委員会または施設長の承認を得て実施した.

結果

649名から回答を得た(返信率:67.0%).回答拒否者66名,家族へのバーバルコミュニケーション支援項目の全てに無回答であった47名を分析から除外し,536名を分析対象とした.患者と遺族の背景情報を表2に示した.

表2 対象者背景(n=536)

家族へのバーバルコミュニケーション支援の有無とその評価

支援があった者の割合(選択肢1~3を回答した者)が高かった順に,まとめたものを図1に示した.医療者からの支援があった割合が高かったのは,「患者の聴覚機能保持の保証」63.5%,「患者の思いを推察した家族への言葉かけ」58.3%,「家族が患者に伝えたい思いの傾聴」48.0%であった.それ以外の支援では,支援があった者の割合は3割前後であった(図1).

図1 家族へのバーバルコミュニケーション支援の有無

支援の評価では以下の特徴がみられた.支援があった者では,71.8~39.3%が「助けになった」と回答していた(付録図1).支援がなかった者では,全ての項目で「特に必要としなかった」の方が「あったら良かったと思う」よりも多かった.「患者の聴覚機能保持の保証」では4割,それ以外の項目では2~3割の者が「あったら良かったと思う」と回答した(付録図2).

家族へのバーバルコミュニケーション支援と「患者と家族との良好な関係性」および「ケアの全般的満足度」の関連性

患者と家族との良好な関係性,ケアの全般的満足度を目的変数とした重回帰分析結果を表3に示した.

患者と家族との良好な関係性では,調整なし・調整あり共に,全ての支援で有意な関連が認められた.ケアの全般的満足度では,調整ありで,発信支援の「家族から患者への言語化の具体的提案(項目3)」,「家族の思いを患者に伝える(項目6)」,「患者の聴覚機能保持の保証(項目8)」,受信支援の「患者の思いを推察した家族への言葉かけ(項目5)」で有意な関連が認められた.調整変数のうち,CESのみが患者と家族との良好な関係性,ケアの全般的満足度を目的変数とした全ての重回帰分析で有意な関連が認められた.

表3 家族へのバーバルコミュニケーション支援と「患者と家族との良好な関係性」および「ケアの全般的満足度」との関連(重回帰分析結果)

考察

本調査は,遺族の視点から家族へのバーバルコミュニケーション支援の実態を明らかにした.まず支援の有無では,内容によって支援を受けた者の割合に差がみられ,最も支援を受けた割合が多かったのは「患者の聴覚機能保持の保証」の6割であった.これは臨終前後の医療者の対応を検討した先行研究25)と同程度の割合であり,我が国の臨床で実践されている臨終前の家族支援と考えられる.次に支援を受けた者の割合が多かったのは「患者の思いを推察した家族への言葉かけ」「家族が患者に伝えたい思いの傾聴」であった.これらの対応は,日々のケアの中で自然な言葉掛けやケアとしてなされている可能性が伺えた.

一方,患者と家族間の思いの橋渡しに繋がる発信支援(家族の思いを患者に伝える),受信支援(患者の思いを家族に教える)はどちらの場合でも,支援を受けたのは3割であった.また「家族から患者への言語化」の発信支援では,その内容が言語化を勧める言葉掛けなのか,それとも具体的なアドバイスをするのか,会話の流れを作るのか,その内容にかかわらず,支援を受けた者は3割であった.これらの支援は,「家族が患者に伝えたい思いの傾聴」よりも,患者と家族の関係性により踏み込んだ支援であると同時に,医療者の経験やスキルも深く関係する内容であり,簡単に実践されるものでないことを反映している可能性を考える.

当然のことながら,支援は一義的に全ての者に行えば良いというものではなく,支援を必要とする者としない者を見極めることが重要である.本研究では,支援を受けた場合と受けなかった場合で別々に対応の評価を求めることで,現実に即した実態を反映することができたと考える.支援を受けた者では,支援を必要としなかった者の割合は極めて少なく,支援に対する評価は概ね高かった.一方で支援を受けなかった者では,「患者の聴覚機能保持の保証」で4割,それ以外では2~3割の者が「あったら良かったと思う」と回答しており,支援のニーズの見極めに改善の余地があると考える.終末期の家族から患者への思いの言語化は,思いを言葉に伝えたい動機が強かった,日頃から思いを言葉にしていた者ほど思いを言葉にし,以心伝心の価値観が強かった者ほど思いを言葉にしないことが示されている26).今後,支援ニーズと思いの言語化の背景にある態度との関連を検討することが有益である.

終末期に患者と家族との関係性を強める機会を持つことは,患者のみならず家族にとっても重要な事柄である27).先行研究からは質の高いケアを提供することが,患者と家族との良好な関係性24),ケアの満足度の高さ22)に繋がることが推測されたことから,調整変数としてケアの質を投入した.その結果,ケアの質を調整したうえでも,全ての支援で,支援があった者の方が,患者と家族がより良好な関係性でいられたと評価された.家族へのバーバルコミュニケーション支援が両者の関係性の強化に繋がる可能性を示す結果といえる.

一方,ケアの全般的満足度では,支援内容によって関連がみられるものとみられないものに分かれた.発信支援では,「家族が患者に伝えたい思いの傾聴」や「家族から患者への言語化の勧め」は関連が認められなかったものの,「家族から患者への言語化の具体的提案」や「家族の思いを患者に伝える」は関連が認められた.思いの言語化に対して具体的なアドバイスをすることや,家族から患者に伝えたい思いを医療者が伝えることがケアの満足度に繋がる可能性が伺えた.ただし「家族の思いを患者に伝える」支援は,支援を受けた者の7%は「必要なかった」と回答しており,統計学的にはケアの満足度と関連を示すものの,配慮が求められる内容といえる.

それ以外には,「患者の聴覚機能保持の保証」で有意な関連が示された.「患者の聴覚機能保持の保証」は,支援を受けた者の7割が「助けになった」と回答し,支援を受けなかった者でも4割が「あったら良かったと思う」と回答しており,臨終期の患者と家族のバーバルコミュニケーションを支える重要な家族支援といえる.遺族の後悔には,最期に会話や言葉を交わせなかったことが挙げられている28,29).今回の調査では,「患者の聴覚機能保持の保証」支援の有無と実際の臨終期における言葉の有無,言葉にした(しなかった)事実に対する家族の認識との関係は不明である.今後,支援とケアの満足度を媒介する要因として,最期のお別れの言葉の有無,その事実に対する家族の認識との関連を含めたメカニズムの検討が求められる.

受信支援に関しては,「患者の思いを推察した家族への言葉かけ」がケアの全般的満足度に関連していた.患者の思いを推察した医療者からの肯定的な言葉かけには,患者と家族の関係性を見極め,家族の置かれている立場や心情をくみ取ったうえで,その文脈に合った言葉かけをする難しさがある.ただし患者と家族との信頼関係のもと,必要に応じて患者の思いを察した言葉かけをすることは,家族に世話や介護に対する肯定的感情,患者との関係性の捉え方に肯定的な意味付けを与えることで,ケアの満足度に繋がるのではないかと考える.

なお重回帰分析結果からは,調整変数のうち,ケアの質の高さが患者と家族との良好な関係性やケアの全般的満足度に繋がることが示唆された.患者と家族のバーバルコミュニケーションの支援に関しては,ケアの満足に繋がる中核となるケアの質の向上を図ることを前提としたうえで,支援意義を理解することが重要といえる.

本研究の限界として,以下の点が挙げられる.1つ目に,本調査の回答応諾率は60%であった.未回答者ではケアの満足度が低い可能性もあり,本調査のケア評価が高い方向に偏っていた可能性を考慮する必要がある.2つ目に,本研究は回顧法によるデータであり,当時の記憶の正確さ,ケア評価への遺族の心理的適応の影響など,リコールバイアスが考えられる.3つ目は,本調査は横断データであり,変数間の因果関係を結論づけることはできない.4つ目は,家族へのバーバルコミュニケーション支援の項目は本調査で独自に作成したものであり,妥当性・信頼性の検討,回答のしやすさの改良が必要と考える.5つ目は,本調査は終末期の患者と家族のバーバルコミュニケーションの支援対象を家族に焦点化したが,患者への支援も実践されていると考える.またノンバーバルコミュニケーションも患者と家族の思いの伝達を支える手段であり6,30),コミュニケーション支援にはノンバーバルコミュニケーションの視点も求められる31).今後は患者と家族のコミュニケーションについてより包括的な視点から,研究知見の蓄積が期待される.

結論

家族へのバーバルコミュニケーション支援は,内容によって支援を受けた者の割合に差がみられたものの,支援に対する評価は概ね高かった.一方で支援を受けなかった者の2~4割は「あったら良かったと思う」と回答し,支援のニーズの見極めに改善の余地があると考えられた.

患者と家族との良好な関係性では,8つの全ての支援で有意な関連が認められた.全般的ケア満足度では4つの支援で有意な関連が認められた.家族へのバーバルコミュニケーション支援は患者と家族との良好な関係性やケアの満足度に繋がる可能性を持つ点において,医療者が日々のケアの中で支援を行う意義が示唆された.

利益相反

森田達也:講演料(塩野義製薬 株式会社,協和発酵キリン株式会社)

宮下光令:企業の職員・顧問職(NPO 法人日本ホスピス緩和ケア協会理事),原稿料(株式会社メディカ出版)

その他:該当なし

著者貢献

中里は研究の構想およびデザイン,分析,データ解釈,原稿の起草,原稿の知的内容にかかわる批判的な推敲に貢献;塩崎は研究の構想およびデザイン,分析,データ解釈,原稿の知的内容にかかわる批判的な推敲に貢献;平井,森田,多田羅,市原は研究の構想およびデザイン,原稿の知的内容にかかわる批判的な推敲に貢献;佐藤は研究データの解釈,原稿の起草,原稿の知的内容にかかわる批判的な推敲に貢献;清水,恒藤,志真は研究データの収集,原稿の知的内容にかかわる批判的な推敲に貢献;宮下は研究データの収集,データ解釈,原稿の知的内容にかかわる批判的な推敲に貢献した.すべての著者は投稿論文ならびに出版原稿の最終承認,および研究の説明責任に同意した.

References
 
© 2018日本緩和医療学会
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