Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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原著
訪問看護師が実施している在宅認知症高齢者の疼痛マネジメント
安藤 千晶菅野 雄介鈴木 晶子高橋 文代小川 朝生
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2019 年 14 巻 2 号 p. 151-157

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Abstract

訪問看護師が行っている,在宅で生活する認知症高齢者に対する疼痛マネジメントの内容を明らかにすることを目的とし,10名の訪問看護師を対象に半構造化インタビューを実施,質的帰納的に分析した.その結果24のサブカテゴリー,8のカテゴリーが得られた.訪問看護師は標準的な認知症高齢者の疼痛マネジメントに加え,在宅看護のヘルスアセスメントの特性から生活全体を視野に入れた疼痛マネジメントを実施していた.また自らの訪問時の情報に加え,家族や他職種から得た情報から,利用者の生活全体を想像し総合的にアセスメントする視点が重要であり,多職種でアセスメントの視点と情報を共有する工夫が求められていることが示唆された.さらに訪問看護師は疼痛の存在が明確でなくとも,疑われる場合は薬物・非薬物療法を実施し,平常時の日常生活の行動変化から疼痛評価を実施していた.今後全国調査により疼痛マネジメントの実際を明らかにする必要がある.

緒言

わが国では65歳以上の高齢者人口が3,515万人,高齢化率27.7%の超高齢社会を迎え,2025年には65歳以上の高齢者の認知症患者数が約700万人になると見込まれている1).また加齢に伴い,骨・関節系の器質的障害は増大し,65歳以上の高齢者の有訴率は腰痛および肩こり,関節の疼痛などの運動器が上位を占めており2),がん死亡者数のうち約80%が65歳以上であると報告されていることから3),高齢者の疼痛の罹患率は高い.その他老年期の特徴として,配偶者との死別や,日常生活での自立が困難となり第三者から介護を受ける等多くの喪失体験を伴うため4),医学的対応のみならず,心理・社会的対応が重要とされている5).そして高齢者の疼痛は,日常生活動作や生活の質への影響が明らかにされている6)

在宅で生活する認知症高齢者の疼痛の罹患率は,先行研究において,認知機能障害のない高齢者と比べて有意に低く,かつ鎮痛薬の使用率も低いという研究結果7),罹患率に認知機能障害の重症度が影響していたとする報告もある8).この背景として認知症高齢者は疼痛の存在を言語により他者に訴えることができないことから,理解されず未治療となることが指摘されている9).したがって,自ら痛みを訴えられない患者の疼痛アセスメントとして10),表情,声や話し方,体の動き,様子や行動,他人との関わりの変化,日常生活パターンの変化,精神状態の変化を観察することが推奨されている.また認知症高齢者は,疼痛をagitationや攻撃性で表現することもあり,疼痛緩和によりそれらのBPSD(行動・心理症状)が軽減されることもすでに明らかになっている11)

一方在宅で生活する認知症高齢者を支える専門職に関する研究では,海外ではナーシングホームに勤務する看護師12,13),ナーシングホームの管理者14),General practioners15),Community pharmacists16)を対象とし,在宅認知症高齢者の疼痛マネジメントの知識,態度,信念と対象者の属性との関連を明らかにする調査が進められているが,わが国では老人保健施設に勤務する看護師を対象とした調査のみである17).訪問看護師は,地域において認知症高齢者が最期までその人らしく生活できるように服薬支援,医療機関と介護サービスをつなぐ支援のほか,自ら体調不良の訴えがない認知症高齢者に対し身体状況の変化を予測した支援を行っており18),疼痛マネジメントにおいても重要な役割を担っている.よって本研究は全国実態調査を行うための予備的な研究として,訪問看護師が行っている,在宅で生活する認知症高齢者に対する疼痛マネジメントの内容を明らかにすることを目的とし,質的帰納的に分析した.

用語の定義

1.疼痛:原因疾患,疼痛の部位・程度のいかんによらず,一定の期間持続する疼痛すべてを指す.また本研究では,心・身体・生活世界それぞれを隔てる壁が低いという認知症高齢者の心身特性を鑑み19),精神的,社会的な痛みも含める.

2.疼痛マネジメント:疼痛アセスメント,疼痛ケア,疼痛評価のすべての概念を含む.

3.認知症高齢者:在宅医が訪問看護指示書に認知症と記した者とし,かつ重症度は問わず,認知機能の低下に伴い日常生活に支障をきたしている高齢者すべてを指す.

方法

本研究は半構造化面接による質的帰納的研究であった.

対象者

選定基準は訪問看護師の経験年数が5年以上の者であり,かつ在宅認知症高齢者の疼痛マネジメントに関心があり,訪問看護師として就職したのちに在宅認知症高齢者の疼痛マネジメントを3例以上経験した者とした.

選定方法は対象者が所属する5つの訪問看護ステーションの統括責任者に候補者の選定と研究の説明文書の配布を依頼した.その後候補者が在職する各ステーションに出向き,文書と口頭で説明を行い,同意書へのサインを得た後に研究対象者とした.

データ収集方法

インタビューガイドに沿って以下の主要な質問を行った.

1.今まで実施した在宅認知症高齢者への疼痛マネジメントのなかで,疼痛に気づき,対処した経験とその内容

2.看護実践を行ううえで重要視している在宅認知症高齢者の疼痛マネジメント方法

3.在宅認知症高齢者の疼痛マネジメントを実施するうえでの工夫

インタビューは個室で実施し,対象者の体験の内容を明らかにするよう留意するとともに,対象者の承諾を得てICレコーダーに録音した.データ収集期間は2016年10月~同年11月であった.

分析方法

録音記録から逐語録を作成し,訪問看護師が行っている,在宅認知症高齢者に対する疼痛マネジメントの内容に関する文章を抽出し,意味のある一つの文脈ごとに区切りコード化した.コード化された記述は類似性に留意しながらサブカテゴリー,カテゴリーと抽象度を上げた.なおインタビュー中に語られた,認知機能障害のない高齢者に関する語りは分析から除外した.

結果の厳密性を確保するために,インタビュー協力施設の訪問看護ステーション統括責任者に分析結果について確認し,同意を得た.著者の解釈に歪みや偏りがないか共著者と議論したうえで,認知症ケアに精通した指導者のスーパーバイズを受けた.

倫理的配慮

本研究は文京学院大学研究倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:2016-0014).研究協力の候補者に参加を依頼する際,文書と口頭で研究の主旨を伝え,参加は自由意志であること,研究協力の同意の撤回とインタビューの中断の権利の保障,匿名性の確保,目的以外にデータを使用しないこと,研究協力者の実践を評価するものでないこと,結果公表の予定を説明し,書面での同意を得たのちに実施した.

結果

対象者は同一法人の5つの訪問看護ステーションに所属する看護師10名であった.平均訪問看護師経験年数13.9±4.9年,平均面接所要時間は,31.5±7.6分であった(表1).保有資格は全員正看護師であり,がん性疼痛看護認定看護師1名,訪問看護認定看護師2名,認知症看護認定看護師1名であった.

インタビュー逐語録から分析の結果,24のサブカテゴリー,8のカテゴリーが得られた(表2).以下カテゴリーは【 】,サブカテゴリーは[ ]を用いる.

【在宅看護におけるヘルスアセスメントを実施する】

[日常生活の活動状況をアセスメントする]とは,訪問看護師は排泄行動,入浴動作,食欲・食事量・食事の準備・買い物,起床・移動動作,外出の有無,睡眠状況から疼痛アセスメントを行っていた.

[生活環境をアセスメントする]とは,洗濯ができているか,生活物品が整っているかといった環境に関する情報を,通常の疼痛アセスメントに加え実施していた.

[平常時の様子を把握する]とは,認知症発症前からの生活の様子,我慢強いなど元来の性格や表情について,家族やホームヘルパーから情報を集める工夫をし,その人の全体像の把握に努めていた.

【標準的な疼痛アセスメントを実施する】

[フィジカルアセスメントを行う]とは,発赤・腫脹の有無,可動域の確認,発汗の有無,バイタルサインの変動を観察していた.その際利用者が疼痛を感じていたこと自体を忘れてしまうこともあるため,訪問時に実際に動いてもらうことで疼痛の有無を観察していた.

[認知機能障害があっても言語を用いた疼痛マネジメントを行う]とは,訪問看護師は疼痛の訴えが明確でなくとも言葉でその有無を尋ねるとともに,諦めずに記憶に刷り込んでいく工夫をしていた.

【認知症高齢者に適した疼痛アセスメントを実施する】

[表情を観察する]とは顔をしかめる,眉間に皺を寄せる,いつも通りに動こうとした際の表情の観察を行っていた.

[BPSDの出現の有無を観察する]とはケアに対しての拒否がある,周囲の人に当たり散らす,機嫌が悪い,立ったり座ったり落ち着かずに,じっとしていられない,もぞもぞと動く動作の観察を行っていた.

[ジェスチャーを観察する]とは利用者が患部を触る等ジェスチャーの観察をしていた.

[疼痛の原因を探る]とは,訪問看護師は利用者が自らの疼痛を明確に訴えられないからこそ,種々の検査により疾患を同定する必要があると捉え,また疾患と否定されない限りは何かが起こっていると,疼痛の原因を探っていた.

[認知機能・身体状況に合わせた疼痛アセスメントを行う]とは,訪問看護師は軽度認知症高齢者に対し,Face Scaleを使用していた.また重度認知症の場合は,言葉・表情・動きで疼痛アセスメントを行うが,最重度の場合は言葉を発せず,また動きがなく表情もないため,疼痛の有無の判断が難しくなる経験をしていた.また意識レベルが低下した際の疼痛の有無は,うなり声で判断していた.

【薬物療法を実施する】

[鎮痛薬を投与する]とは,対象者が語った17ケースのうち,薬物療法を実施した主な疾患は,がん性疼痛 7件(麻薬使用5件),骨折・筋骨格系疾患による疼痛10件(麻薬使用1件,NSAIDs使用3件)であった.

【在宅認知症高齢者に適した非薬物療法を実施する】

[心理的支援を実施する]とは,訪問看護師は,がん性疼痛のある認知症高齢者が過去の人生を繰り返し悔いる場面や,独居の利用者の症状が進行し不安により身体的疼痛を以前に増して訴える場面に遭遇し,心理的な痛みと捉え積極的傾聴を行っていた.

[現在利用している在宅サービス全体の再調整を行う]とは,疼痛出現時に介護支援専門員に連絡し,日常生活行動の際に身体的負担がないよう在宅サービス全体の再調整を行っていた.

[足浴を実施する]とは,訪問看護師はがん性疼痛のある中等度認知症高齢者に対し,ホームヘルパーが訪問した際に足浴を実施するようサービスを組み立てる支援を実施していた.

[ベッド,椅子などの生活環境を整える]とは,疼痛が少ない体位を取りやすいよう,正座から椅子の生活に変えるよう生活環境を整える工夫を行っていた.

【在宅認知症高齢者に適した疼痛評価を実施する】

[疼痛の存在が明確でなくとも,疑われる場合は鎮痛薬を投与する]とは,訪問看護師は利用者の不穏行動が疼痛によるBPSDか認知症症状か判別が難しいときや,利用者の訴えが明確でないときは,まず鎮痛薬の投与を行い,その後に日常生活の行動が改善するかで疼痛の同定を行っていた.

[鎮痛薬の残数で評価する]とは,独居の軽度認知症高齢者の訪問時に,定時処方されている鎮痛薬の残数を確認することで,疼痛の存在と程度を評価していた.

[臨床症状と照らし合わせて客観的指標で評価する] とは,がんの認知症高齢者の場合,腹水など明らかな身体的症状があれば,健常高齢者と同様に疼痛が存在すると判断していた.

[日常生活の様子から疼痛を評価する]とは,疼痛評価スケールを用いたアセスメントだけではなく,夜眠れないくらい痛かった,入浴は難しいがシャワーに入れる程度の疼痛など,日常生活の様子から疼痛評価を実施していた.

[平常時の日常生活の行動変化から疼痛評価を行う] とは,前回の訪問時との比較や日常生活の行動変化から,鎮痛薬の効果を評価していた.

【情報をつなぎ合わせ,生活を総合的にアセスメントする】

[家族・他事業所から情報を収集・統合し,生活全体をアセスメントする]とは,訪問看護師は家族,ホームヘルパー,主治医,デイサービスの職員,その他の事業所からの情報を統合し,自らが訪問したときの情報だけではなく,利用者の日常生活全体を想像したうえで疼痛アセスメントを行っていた.

[家族・他職種に具体的にアセスメント項目やケア内容を伝える]とは,家族,ホームヘルパー,デイサービス職員に疼痛を評価するための主治医への観察項目やケア内容を伝えていた.

【既存の疼痛評価スケールの使用方法や主治医への報告方法を工夫する】

[既存の疼痛評価スケールの使い方を工夫する]とは,自らの臨床判断を他の専門職と共有するために,10段階のスケールの場合は5段階に変更するといった工夫を行っていた.

[主治医が納得する報告方法を行う]とは,訪問看護師は主治医に報告する際に,前回の訪問時からの比較を伝えること,利用者本人・家族から話すよう働きかけを行っていた.

表1 対象者の臨床経験年数と面接所要時間
表2 訪問看護師が実施している在宅認知症高齢者の疼痛マネジメント

考察

訪問看護師が行っている在宅で生活する認知症高齢者の疼痛アセスメントにおいて,【標準的な疼痛アセスメント】,【認知症高齢者に適した疼痛アセスメント】の内容については先行研究20,21)と同様の結果であった.そのうえで訪問看護師は元来の性格や表情などの[平常時の様子の把握]に努めるとともに,排泄行動,入浴動作,食事の準備,外出の有無などの[日常生活の活動状況]と,生活物品が整っているかといった[生活環境のアセスメント]を行っていた.これは生活者としての対象者を総合的に支えていくことを目標とする,【在宅看護におけるヘルスアセスメント】の特性22)によるものと考えられる.ガイドラインで示されているように23),可能な限り認知症の人から疼痛に関して自己報告法による回答を引き出すための試みを行うべきであることから,認知症高齢者が答えやすいような工夫や,[認知機能障害があっても言語を用いた疼痛アセスメントを行う]ことは重要であるが,在宅で生活する認知症高齢者の疼痛アセスメントにおいて,利用者の生活全体を視野に入れた疼痛アセスメントを実施する重要性が示唆された.

また訪問看護師は【情報をつなぎ合わせ,生活を総合的にアセスメントする】工夫を行っていた.これは在宅認知症高齢者の疼痛マネジメントでの特徴として,利用者は記憶障害に伴い過去に生じた疼痛の部位や程度を伝えることは難しく24),訪問看護師が利用者を観察する時間も限られていることから,投与後の鎮痛薬の効果を訪問時間内に測ることは難しい.さらに日常生活から疼痛をアセスメントするためには,今現在の痛みを測定するFace Scaleなどの疼痛評価スケールの使用方法とは異なり,ある一定時間の観察を要するため,訪問時間内に疼痛アセスメント・評価を行うことには限界がある.以上のことから,在宅で療養する認知症高齢者の疼痛アセスメントでは,[家族・他事業所から情報を収集・統合し,生活全体をアセスメントする]視点が非常に重要であり,訪問看護師は疼痛マネジメントを実施するために[家族・他職種に具体的にアセスメント項目やケア内容を伝える]工夫を行っていたものと考えられる.また利用者の日常生活の全体像を想像し,多職種でアセスメントの視点を共有できるよう,【既存の疼痛評価スケールの使用方法や主治医への報告方法を工夫する】ことも同時に実施していることが明らかとなった.海外では在宅認知症高齢者のケアを専門とする訪問看護師が,自ら疼痛を訴えられない患者に用いる疼痛評価スケールの有用性をケースレポートとして紹介しており25),わが国においても多職種でアセスメントの視点を共有できるよう,ガイドライン10,23)で推奨している,自ら痛みを訴えられない患者のための評価スケールの活用が望まれる.

疼痛ケアにおいて[鎮痛薬を投与した]事例は,がん性疼痛 7件(麻薬使用5件),骨折・筋骨格系疾患による疼痛10件(麻薬使用1件,非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs使用3件)であった.Bullockら26)は,在宅認知症高齢者に対する疼痛治療に関するシステマティック・レビューの中で,アセトアミノフェンの使用は,認知機能障害のない高齢者と比較し,在宅認知症高齢者においてより一般的であり,NSAIDsは使用されておらず,経皮投与の強オピオイドが使用されている可能性が高いことも明らかにしており,今後わが国においても薬物療法に関する実態について明らかにする必要がある.一方,【在宅認知症高齢者に適した非薬物療法の実施】として,精神的・社会的痛みに対する[心理的支援],[足浴の実施]のほか,[在宅サービス全体の再調整]や[生活環境を整える]支援を実施していることが明らかになったが,Bullockら26)はとくに非薬理学的介入に関する調査研究において,質の高い研究が不足していることを示しており,今後薬物療法と併せて実態を明らかにしていく必要がある.

疼痛評価において訪問看護師は,【在宅認知症高齢者に適した疼痛評価】として,夜眠れないほど痛かった,入浴は難しいがシャワーに入れる程度の痛みなど,[日常生活の様子から疼痛を評価]していることが明らかとなった.さらに[疼痛の存在が明確でなくとも,疑われる場合は鎮痛薬を投与]し,その結果[平常時の日常生活の行動変化から疼痛評価を行う]ことを実施しており,特に利用者の不穏行動が疼痛によるBPSDか認知症症状か判別が難しい時,鎮痛薬の投与によりBPSDが軽減されるかどうかを観察していた.先行研究では,鎮痛薬の投与前と比較し投与後に日常生活行動やBPSDが改善すれば,その時患者には疼痛が存在していたと評価することが示されているが9,2732),現在ガイドライン10,23)に明確な記載はなされていない.今後わが国において,在宅で生活する認知症高齢者の疼痛評価に関してもさらなる研究が望まれる.

本研究の限界として,対象者を訪問看護師として就職した後に在宅認知症高齢者の疼痛マネジメントを3例以上経験した者としたため,想起バイアスの可能性が考えられる.また一法人に所属する者を対象としており,全国の訪問看護師の特性を代表するものではない.よって今後全国現況調査により,訪問看護師が実施している在宅認知症高齢者の疼痛マネジメントを明らかにする必要がある.

結論

訪問看護師は,在宅で生活する認知症高齢者の疼痛マネジメントにおいて,標準的な認知症高齢者に対する疼痛マネジメントに加え,利用者の生活全体を視野に入れた疼痛マネジメントを実施していた.また自らが訪問した時の情報に加え,家族や他職種から得た情報から,利用者の日常生活全体を想像し総合的にアセスメントする視点が重要であり,今後,多職種で疼痛アセスメントの視点と情報を共有する工夫が求められていることが示唆された.さらに訪問看護師は疼痛の存在が明確でなくとも,疑われる場合は鎮痛薬の投与または非薬物療法を実施し,平常時の日常生活の行動変化から疼痛評価を行っていた.今後全国現況調査により疼痛マネジメントの実際を明らかにする必要がある.

謝辞

研究に御協力いただきました訪問看護師の皆様,ならびに研究の過程で御示唆をいただきましたすべての皆様に心より御礼申し上げます.本研究は平成28年度科学研究費助成事業 研究活動スタート支援(課題番号:15H06570)を受け実施した.

付記

本稿は第7回日本在宅看護学会学術集会で発表したものを一部加筆修正したものである.

利益相反

著者の申告すべき利益相反なし

著者貢献

安藤・菅野・小川は研究の構想,原稿の重要な知的内容に関わる批判的な推敲に貢献;安藤・鈴木・高橋はデータ収集・分析,データの解釈,原稿の重要な知的内容に関わる批判的な推敲に貢献した.すべての著者は投稿論文ならびに出版原稿の最終承認,および研究の説明責任に同意した.

References
 
© 2019日本緩和医療学会
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