【目的】終末期がん患者の口腔不快事象に対する半夏瀉心湯の含嗽の有効性を検討した.半夏瀉心湯に蜂蜜を混和することで症状緩和の有効性およびコンプライアンスが向上するか検討した.【方法】対象症例を無作為に振り分けたうえで,半夏瀉心湯または蜂蜜併用半夏瀉心湯含嗽を2週間施行した.開始前後で口腔乾燥,口臭,口内炎,口腔内不快感,含嗽のコンプライアンスについて評価を行った.【結果】対象症例は22例であった.半夏瀉心湯含嗽による口腔内乾燥度の改善,呼気中硫化水素の減少が認められたが,含嗽による臨床効果や含嗽のコンプライアンスと蜂蜜併用の有無に大きな関連は認められなかった.【結論】終末期がん患者の口腔不快事象に対する半夏瀉心湯の含嗽は,患者の生活の質向上に寄与することが示唆されたが,蜂蜜の使用についてはとくに大きな利点は認めなかった.口腔内不快事象を緩和させることは終末期がん患者のケアに有効であると考えられる.
口腔内乾燥,口内炎などに代表される口腔内不快事象は終末期がん患者に認められる代表的な身体的苦痛症状の一つである1).ホスピス入院中の進行がん患者において口腔内乾燥は77%に認められると報告されている1)ほか,進行がん患者669例を対象とした調査では,22.3%に口内炎を認められることが報告されている2).口内炎は痛みの原因となる3)ほか,経口摂取や構音会話の障害,口腔内細菌による全身・局所感染症のリスク増大4)など,患者のQuality of Life(QOL)を著しく低下させる要因となるが,口腔内不快事象に対する統一された手法や薬物療法は十分確立しておらず,経験則に基づいた独自の対応が行われていることが多い.
半夏瀉心湯はがん薬物療法による口内炎を軽減することが明らかにされている5,6)が,終末期がん患者における有効性は示されておらず,漢方薬特有の苦みや味による継続困難といった課題も存在している.蜂蜜は古くから薬剤または食品として使用されており7),口腔粘膜の保護,保湿作用のほか,抗酸化作用,免疫系活性化による創傷治癒の促進8)や,がん治療に伴う口内炎の抑制効果について報告されている9,10)が,終末期がん患者における有効性に関するエビデンスは乏しく11),本邦でも矯味目的や結合剤,栄養剤,保護剤として用いられている.
このような現状を踏まえ,本研究の目的は,終末期のがん患者の口腔不快事象に対する半夏瀉心湯の含嗽の有効性を検討するとともに,半夏瀉心湯に蜂蜜を混和することによる症状緩和の有効性の向上ならび患者のコンプライアンス向上について検討することである.
積極的ながん治療を終え療養中の聖隷佐倉市民病院緩和医療科外来を受診した全症例に対して本研究の説明を行い(2016年7月1日~2018年8月31日),口腔内不快事象の有無を口頭で確認した.口腔内不快事象が存在すると答えた症例のうち本研究への参加の同意が得られた症例を対象症例とした.事前に設定した除外基準に則り,頭頸部腫瘍患者,開口障害を認める症例など本研究に不適格と考えられた症例および同意が得られなかった患者を除外した.
2.介入対象症例を半夏瀉心湯単独で含嗽する群(半夏瀉心湯単独群,以下,単独投与群)と半夏瀉心湯と蜂蜜を混和したもので含嗽する群(半夏瀉心湯蜂蜜併用群,以下,蜂蜜併用群)の二群に封筒法によって無作為に割付を行った.研究同意が得られた際に口腔内を診察し,口腔乾燥,口臭,口内炎,口腔内不快感を評価した.口腔内不快感は自覚症状をVisual Analogue Scale (VAS)(0〜100 mm),4段階Verbal Rating Scale(VRS)(なし,軽度,中等度,重度),他覚症状を4段階VRS(なし,軽度,中等度,重度)により評価した.外来診察室にて5分程度の身体的,精神的安定状態を設定したのち,熟練した歯科衛生士1名が口腔水分計(ムーカス®)12)を用いて舌粘膜の生理的湿潤度の測定を行った.口臭は口臭ガス測定器(オーラルクロマ®)13)を用いて客観的に計測し,口内炎はCommon Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)Ver.3.0にて評価した.無作為割付に従って半夏瀉心湯含嗽液または半夏瀉心湯と蜂蜜を混和した含嗽液を渡し,1日3~5回の含嗽を2週間施行するよう指示した.2週間後に聖隷佐倉市民病院緩和医療科外来にて口腔内を再度診察し,同項目を評価したのち,含嗽の頻度,受け入れやすさについてアンケート調査を行った.含嗽の頻度,含嗽の受け入れやすさは5段階VRSにより評価した.得られた介入前後の口腔内の臨床パラメータの変化を解析,評価し,その有効性について検討した.
3.半夏瀉心湯,蜂蜜の調製および使用方法含嗽液の調整はすべて当院薬剤部にて行った.全例で半夏瀉心湯はツムラ半夏瀉心湯エキス顆粒(医療用),蜂蜜は日本薬局方ハチミツを用いた.
単独投与群では微温湯約50 mlに半夏瀉心湯2.5 gを混和,懸濁した.口腔内に含み,1~2分程度保持したうえで吐き出す動作を1回とし,これを食間または食前に3~5回/日程度行うよう指示した.
蜂蜜併用群では半夏瀉心湯2.5 gと蜂蜜5 gを混和,懸濁した.口腔内に含み,1~2分程度保持したうえで吐き出す動作を1回とし,これを食間または食前に3~5回/日程度行うよう指示した.
4.口腔水分計(ムーカス),口臭ガス測定器(オーラルクロマ)13)による評価ムーカスは舌粘膜にセンサ表面を接着し静電容量を測定することで舌粘膜の生理学的湿潤度を評価する体成分分析装置である12).湿潤度29.6以上を正常,27.9以下を口腔乾燥症および28.0~29.5を口腔乾燥症の境界域と定義されており12),被測定者に5分間程度の身体的・精神的安静状態を設定することにより,より再現性のある測定値が得られることが示されている14).
オーラルクロマは,口腔ガス中の主要口臭成分とされる揮発性硫黄化合物を3要素ガス[硫化水素(H2S),メチルメルカプタン(CH3SH),ジメルサルファイド((CH3)2S)]に分離し,その濃度を測定する口臭測定器である.H2Sは卵が腐ったようなにおい,CH3SHは魚や野菜が腐ったようなにおい,(CH3)2Sは生ゴミのようなにおいと特有のにおいを有している.揮発性硫黄化合物は口腔内細菌によって脱落上皮細胞,血液成分,細菌の死骸などのタンパク質が分解され,システインやメチオニンなどの硫黄を含んでいるアミノ酸をもとにして生成される.口腔内環境が不良の場合,揮発性硫黄化合物の生成増加により,においは増強すると考えられる.
5.症例数終末期がん患者における半夏瀉心湯含嗽の有効性を検証した先行研究は存在しないため,半夏瀉心湯はがん薬物療法による口内炎を軽減することを示した研究5)を参考として22例とした.
6.統計解析含嗽前後および2群間の臨床パラメータの比較は,GraphPad Prism version 6(GraphPad Software, San Diego, CA, USA)を用い,Mann-Whitey U test にて統計学的評価を行った.
7.倫理的配慮本研究に関係するすべての研究者はヘルシンキ宣言に従って本研究を実施した.情報(データ)の使用に際しては,文書および口頭で研究の趣旨を説明し同意を得た.使用に際して情報は匿名化し個人が特定できないものとし,本研究の目的以外には使用しないものとした.また本研究は「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号)に従って計画され,聖隷佐倉市民病院倫理委員会の承認を得て実施された.
2016年7月1日〜2018年8月31日までに聖隷佐倉市民病院緩和医療科外来を受診した144名のうち,適格基準を満たし除外基準に該当しなかった症例のなかで研究参加の同意が得られた22例を対象症例とした.対象症例は単独投与群(13例),蜂蜜併用群(9例)にそれぞれ無作為に割り付けられた.単独投与群のうち2例が途中脱落となった(現病悪化による死亡1例,掻痒感出現による中止1例)ため,単独投与群は11例にて統計解析を行った.
適格基準を満たし除外基準に該当しなかった症例の中で研究参加の同意が得られた22例を対象症例とした.対象症例となった22例は単独投与群(13例),蜂蜜併用群(9例)にそれぞれ無作為に割り付けられた.
年齢,性別,Performance Status Eastern Cooperative Oncology Group(PS ECOG)について全患者群,単独投与群,蜂蜜併用群で群間比較を行ったが,統計学的有意差は認めなかった.介入前の口腔内不快感(VAS),口腔内乾燥度,口内炎(CTCAE Ver.3.0),口臭(H2S,CH3SH,(CH3)2S)について単独投与群と蜂蜜併用群で群間比較を行ったが,統計学的有意差は認めなかった.
3.有効性口腔内乾燥度の変化(図2)
ムーカスを用いて介入前後で測定したところ,単独投与群,蜂蜜併用群,両群合わせた群のいずれにおいても改善を認めた.単独投与群,両群合わせた群の前後比較において統計学的有意差を認めた(p<0.05).
口臭の評価(図3)
オーラルクロマを用いてH2S,CH3SH,(CH3)2Sを介入前後で測定したところ,単独投与群,蜂蜜併用群,両群を合わせた群のいずれにおいても改善を認めた.H2Sについては単独投与群,両群を合わせた群の前後比較において統計学的有意差を認めた(p<0.05).
口腔内不快症状の変化および口内炎の評価(付録表1)
単独投与群,蜂蜜併用群のいずれにおいても自覚症状(VAS,4段階VRS),他覚症状(4段階VRS)は介入前後で改善を認めたが,統計学的有意差は認めなかった.CTCAE Ver.3.0を用いて口内炎について評価したところ,介入前grade2以上の症例は単独投与群,蜂蜜併用群とも2例であったが介入後は両群とも1例であった.両群とも介入前より悪化した症例は認めなかった.
*p<0.05 (Mann-Whitey U testにて検定), mean ±SE
単独投与群,蜂蜜併用群,両群合わせた群のいずれにおいても改善を認めた.単独投与群,両群合わせた群の前後比較において統計学的有意差を認めた.
*p<0.05, (Mann-Whitey U testにて検定), mean±SE
オーラルクロマ®を用いてH2S,CH3SH,(CH3)2Sを介入前後で測定したところ,単独投与群,蜂蜜併用群,両群を合わせた群のいずれにおいても改善を認めた.H2Sについては単独投与群,両群を合わせた群の前後比較において統計学的有意差を認めた.
単独投与群において2例の脱落があった(病状進行による継続困難1例,掻痒感の出現により自己判断で含嗽を中止した1例).掻痒感は含嗽中止後すみやかに消失し現在に至っている.蜂蜜併用群では脱落を認めなかった.
5.含嗽のコンプライアンス(図4)含嗽の頻度について5段階VRSを用いて評価したところ,両群ともほぼ行うことができた症例が多く(単独投与群5例,蜂蜜併用群6例),ほぼ行えなかった症例は両群1例ずつであった.
含嗽の受け入れやすさについて5段階VRSを用いて評価したところ,快適だったと回答したのは蜂蜜併用群8例のみであった.また,おおむね計画通り実施できたもの(快適であったおよび問題なく行えた)は単独投与群8例,蜂蜜併用群9例であった.やや受け入れがたかったと回答したのは単独投与群で3例のみであった.
含嗽の頻度:5段階VRS(0: 全く行わなかった,1: ほぼ行えなかった,2: 半分以下であった,3: 7割程度は行えた,4: ほぼ毎日行うことができた)
含嗽の受け入れやすさ:5段階VRS(0: 全く行わなかった,1: ほぼ行えなかった,2: やや受け入れがたかった,3: 問題なく行えた,4: 快適だった)
含嗽の頻度は,両群ともほぼ行うことができた症例が多く,ほぼ行えなかった症例は両群1例ずつであった.
含嗽の受け入れやすさは,おおむね計画通り実施できたもの(快適であったおよび問題なく行えた)は単独投与群8例,蜂蜜併用群9例であった.やや受け入れがたかったと回答したのは単独投与群で3例のみであった.
本研究では,終末期のがん患者の口腔不快事象に対する半夏瀉心湯の含嗽の有効性を検討するとともに,半夏瀉心湯に蜂蜜を混和することによる症状緩和の有効性の向上ならび患者のコンプライアンス向上について検討した.その結果,半夏瀉心湯含嗽による口腔内乾燥度の改善,呼気中のH2Sの減少が明らかとなった.また,口腔内不快症状(自覚症状,他覚症状),CH3SH,(CH3)2S,CTCAE Ver.3.0による口内炎評価は統計学的有意差を認めなかったものの,いずれも介入前後で改善傾向を示していた.これらは本介入の有効性を示唆するものと考えられた.含嗽の頻度は両群ともほぼ行うことができた症例が多く,受け入れやすさについても両群ともおおむね計画通り実施することができていた.症例数が少ないことを考慮すべきだが,両群とも含嗽のコンプライアンスは良好であり,蜂蜜併用による症状緩和の有効性,コンプライアンス向上は示されなかったが,蜂蜜併用によって快適に行うことができたと回答した症例があった.
本研究において2例の脱落があったが,1例は病状進行による継続困難によるものであり本剤投与との因果関係は考えにくいものであった.1例は掻痒感によるものであったが,投与中止により掻痒感はすみやかに消失し,全身状態に影響は認められず現在に至っていることから重篤なものではなかったと考えられる.
半夏瀉心湯は黄連,半夏,人参,黄芩,乾姜,甘草,大棗の7種類の生薬で構成されており,これらの薬理作用(抗酸化作用15),抗炎症作用16),抗菌作用,鎮痛作用17),組織修復作用)により口腔衛生の改善および口内炎治癒に働くことが明らかとなっている3,18).とくに黄連,半夏,人参,乾姜はそれ自身が殺菌作用を有する18,19)ほか,半夏,人参,黄芩は抗菌性ペプチドを産生し口腔内細菌感染を抑制する20)ことで抗菌作用を発揮すると考えられている.揮発性硫黄化合物は口腔内細菌により産生されるため,半夏瀉心湯含嗽による呼気中のH2S減少は半夏瀉心湯の抗菌作用による口腔内細菌感染抑制に由来する可能性が考えられた.食物摂取の際,咀嚼によって唾液分泌が刺激されることがいくつかの先行研究にて示されている.食物を咬むことにより歯根膜や口腔の粘膜が刺激され,その感覚情報が反射的に唾液を分泌させる21),口腔内の食物から遊離する各種の味物質が味覚受容器を介して起こす唾液分泌や,温かいまたは冷たい食物を食べる際,温度覚受容器を介して反応する唾液分泌については従来からよく知られている22).半夏瀉心湯,蜂蜜には直接的な唾液分泌促進作用はないが,半夏瀉心湯含嗽により口腔内の不快感が改善したことで食事や会話がしやすくなり,その結果,咀嚼が増加し唾液分泌が刺激されることで口腔内乾燥度の改善につながった可能性も考えられた.
蜂蜜は古くから薬剤または食品として使用されており7),とくに薬剤としては創傷治癒促進,鎮咳作用,熱傷に対する治療薬として用いられてきた.口腔粘膜の保護,保湿作用のほか,抗酸化作用,免疫系活性化による創傷治癒の促進8)や,がん治療に伴う口内炎の抑制効果について報告されている9,10).蜂蜜は浸透圧が高いため,細菌から水分を吸収することにより細菌の増殖を防ぐことが報告されており8),これらが口内炎に対する蜂蜜の作用機序に関与していることが示唆されている23).また,蜂蜜により免疫系活性化による影響についても報告されている24,25).しかしながら,至適投与量や投与期間などに関する研究報告は乏しく,終末期がん患者における有効性に関するエビデンスも乏しいため,ガイドライン等には薬剤として明記されていない11).本邦でも薬剤としてではなく,矯味目的や結合剤,栄養剤,保護剤として用いられていることが多い.
本研究において含嗽による臨床効果や含嗽のコンプライアンスと蜂蜜併用の有無に大きな関連は認められなかったが,蜂蜜の併用により快適に行うことができたと回答した症例もみられた.症例数が少ないこと,本研究において蜂蜜の使用量が非常に微量であるため薬理学的作用についての評価は難しいこともあるが,蜂蜜の併用が受け入れやすさにつながる可能性が考えられた.
本研究の限界として,プラセボとの比較ではないこと,ランダム割り付けが封筒法であること,評価者がブラインドされていなかったこと,脱落した2症例を解析から除いたこと,含嗽の頻度と受け入れやすさを評価した5段階尺度が妥当性,信頼性の検証された尺度ではないこと,研究対象者の当該患者集団の代表性が低い可能性があること,症例数が少ないこと,単施設であること,介入前のケアについて評価されていないことなどが挙げられる.
プラセボとの比較試験ではないため,半夏瀉心湯の薬理作用によるものなのか,含嗽そのものによる効果なのか両者による効果なのかを本研究によって明らかにすることはできない.封筒法はランダム割り付け後の介入実施者自身の作為によってランダム性が崩れやすいことが指摘されており26),本研究でも数学的手法を用いたランダム順番の作成および隠蔵が保たれる手法の選択がより適切であったと考えられた.評価者がブライドされていないこと,2症例が脱落したことおよび解析から除外したこと,妥当性,信頼性の検証された尺度ではなかったことによるバイアスについて十分に配慮,検討した研究デザインを構築する必要がある.
終末期がん患者の定義は「生命予後が1カ月程度と予測されるがん患者27)」,「医師が客観的な情報をもとに,治療により病気の回復が期待できないと判断すること,患者・家族・医師・看護師等の関係者が納得すること,患者・家族・医師・看護師等の関係者が死を予測し対応を考えることの三つの条件を満たす場合28)」など多義的である.本研究においては,「医師によって客観的な情報をもとに,治療によるがんの回復が期待できないと判断され,患者本人,家族が納得したうえで,緩和医療科外来を受診した患者」を終末期がん患者として定義したが,定期的な外来通院が可能な患者が対象となっているため,緩和ケア病棟に入院している予後数週間と予測されている患者とは異なることから,比較可能性,一般化可能性について限界があると考えられた.また,口腔内不快事象はあるが,そこまで困っている訳ではないため積極的な介入は希望しないとする症例も散見された.そのことが参加率の低さにつながり,結果として当該患者集団の代表性の低さにつながってしまったと考えられた.本研究の先行研究となる研究報告は存在しなかったため,事前に効果量を予測して適切なサンプルサイズを設定することが困難であった.介入前のケアについて評価されていないため,適切なケアを施行されていたかどうかは不明である.
これらの点を踏まえ,今後はさらなる症例の集積と本研究で考察された限界点について十分考察し対応したうえで,UMIN臨床試験登録システムに登録し単施設ではなく多施設での,より適切な無作為割付方法を用いた検証が必要であると考えられた.
終末期がん患者の口腔不快事象に対して半夏瀉心湯含嗽は口腔内乾燥度を改善すること,呼気中のH2Sが減少することが明らかとなった.半夏瀉心湯に蜂蜜を混和することによる症状緩和の有効性の向上ならび患者のコンプライアンス向上について検討したが,含嗽による臨床効果や含嗽のコンプライアンスと蜂蜜併用の有無に大きな関連は認められなかった.
本研究は笹川記念保健協力財団の「2017年度ホスピス緩和ケアに関する研究助成」を受けて実施した.
上園保仁:講演料(株式会社ツムラ),研究費(株式会社ツムラ)その他:該当なし
村上は研究の構想およびデザイン,研究データの収集,分析,解釈,原稿の起草,原稿の重要な知的内容に関わる批判的な推敲に貢献;五十嵐,宮野,八岡はデータ収集,分析,解釈,原稿の重要な知的内容に関わる批判的な推敲に貢献;上園は研究の構想,研究データの解釈,原稿の重要な知的内容に関わる批判的な推敲に貢献;上野は研究の構想,研究データの分析,解釈,原稿の重要な知的内容に関わる批判的な推敲に貢献;鈴木,石井,松田は研究データの収集,分析,原稿の重要な知的内容に関わる批判的な推敲に貢献した.すべての著者は投稿論文ならびに出版原稿の最終承認,および研究の説明責任に同意した.