2020 年 15 巻 1 号 p. 35-42
【目的】一般病院での緩和ケア体制を明らかにし,緩和ケア体制の違いがオピオイド消費量の施設間格差に及ぼす影響を検討する.【方法】東京都区南部・区西南部の一般病院を対象とした郵送調査を実施し,オピオイド消費量,緩和ケア体制,医師の緩和ケアに関する項目を調査した.またオピオイド消費量を目的変数,調査項目を説明変数とした重回帰分析から,オピオイド消費量の関連要因を探索した.【結果】今回調査した一般病院の35%には緩和ケアチームがなかった.重回帰分析では,緩和ケアに関する資格を持つ薬剤師数,研修会受講医師数,医師への緩和ケアに関する設問の正解数がオピオイド消費量の増加に有意に関連していた.【結語】オピオイド消費量と緩和ケアの知識を持つ医療スタッフ数といった人的資源との関連が明らかになった.一般病院において緩和ケアスタッフを配備することが,オピオイド消費量の施設間格差の縮小につながる可能性が示唆された.