Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
症例報告
緩和的放射線治療が奏功しない出血性進行胃がんに対し血管塞栓術(TAE)が有効であった1例
田崎 裕太郎 牧野 謙二大塚 哲洋中村 太祐北村 慶宮﨑 敦史藤本 俊史杉尾 小百合今村 祥子
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電子付録

2022 年 17 巻 4 号 p. 141-145

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抄録

症例は67歳男性.切除不能進行胃がんへの化学療法が奏功せず,外来にて症状緩和を行っていた.自宅で過ごされていたが,体動困難となり,救急外来を受診.Hb値3.4 g/dlと高度貧血を認め,進行胃がんからの出血と診断.入院のうえ緩和的放射線治療を開始したが,連日輸血を行うもHb値は改善せず,入院4日目の内視鏡検査にて漏出性出血(oozing bleeding)を認めた.入院11日目のHb値2.8 g/dlであり,照射継続での止血は困難と判断し,同日に血管塞栓術(TAE)を施行した.TAE後は輸血にてHb値8.0 g/dlまで改善.その後,輸血は不要となり,入院28日目に転院となった.出血性進行胃がんに対する緩和的放射線治療の高い有効性が報告されているが,奏功しなかった場合の救済治療に苦慮することがある.緩和的放射線治療が奏功しない出血性進行胃がんに対し,TAEが有効な救済治療となった1例を報告する.

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© 2022 日本緩和医療学会
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