Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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原著
  • 勝島 詩恵, 今井 芳枝, 橋本 理恵子, 三木 恵美, 荒堀 広美, 井上 勇太, 長谷 公隆
    2022 年 17 巻 4 号 p. 127-134
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/06
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    本研究では,外来でがんリハビリテーション(以下,がんリハ)を受ける再発・進行がん患者の経験を明らかにし,がんリハの真のエンドポイントを検討することを目的とした.対象はがん薬物療法中でがんリハを行っている再発・進行がん患者13名とし,半構造化面接法を実施した.結果,【自分にあった身体の状態を見つける】【うまく自分の中で生かせる運動が掴めない】【普段と変わりない日常生活を継続できる】【自分が動けていることを周りに示す】【自分で身体を動かしていく愉しみがある】【いまの自分の‘生きる’ことを意味付けてくれる】の6カテゴリーが抽出された.がんリハは再発・進行がん患者に,自身が持つ生きる意味や価値,目的を再確立することで,今の苦しい状況に適応させていく契機になると考えられた.これより,Masteryの獲得が,がんリハにおける新たなエンドポイントになると推察できた.

短報
  • 加藤 恭郎, 德岡 泰紀
    2022 年 17 巻 4 号 p. 147-152
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/07
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    内服困難ながん終末期患者にオピオイド鎮痛薬の持続皮下注(以下,CSCI)を開始する場合,悪心・嘔吐予防にハロペリドール(以下,HPD)の混合が広く行われている.しかしHPDにはCSCI部皮膚障害の危険がある.そこで当院ではヒドロモルフォン塩酸塩(以下,HYM)CSCI時の悪心・嘔吐予防としてブロナンセリン経皮吸収型製剤(以下,BLO-P)を用いてきた.今回,オピオイド鎮痛薬使用歴がなく,他の制吐剤や抗精神病薬の併用がなく,1週間以上経過観察できた例を後方視的に検討した.BLO-P使用5例では悪心・嘔吐はなく,BLO-P貼付部,CSCI部の皮膚障害もなかった.HPD併用5例では,1例に悪心,2例にCSCI部皮膚障害がみられた.BLO-PはHYMのCSCI時の悪心・嘔吐予防として選択肢の一つになり得ると思われた.

  • 竹本 潔, 譽田 貴子, 服部 妙香, 田中 勝治, 新宅 治夫
    2022 年 17 巻 4 号 p. 153-157
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/16
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    電子付録

    【目的】医療型障害児入所施設の職員の終末期ケアに関する意識と施設の現状を明らかにする.【方法】医療型障害児入所施設の全職員466人を対象にACPに関する意識調査を行った.【結果】回収率77.0%,ACP(または人生会議)を知らないと回答した直接支援者は20.2%,間接支援者は50.9%であった.人生の最終段階における医療・ケアについて本人や家族等との話し合い経験者は27.1%であった.話し合いの内容は本人よりも家族の価値観や希望が多く,開始のタイミングは死が近づいた時が多かった.ACP導入については直接支援者の7割以上が希望し,事前準備として研修を希望する人が多かった.家族不在の場合の代理意思決定については多職種の医療・ケアチームで協議し,その結果を倫理委員会で承認を受けることに対して,大半の職員が賛成した.【結論】医療型障害児入所施設でのACP推進には職員への研修が必要である.

  • 丹波 嘉一郎, 秋元 哲, 村橋 昌樹
    2022 年 17 巻 4 号 p. 159-163
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/21
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    電子付録

    透析中止や緩和ケアに関する透析患者の考えには不明な面が多い.栃木県の透析施設の外来血液透析患者を対象に,透析中止や緩和ケアについてアンケート調査を行った.2170通送付し481名(22.2%)から有効回答を得た.その結果,透析療法を続けるのが大変な状況になった場合,透析中止を希望するかという問いに,「はい」と答えた者が160名(33.3%)だった.その中で118名(73.8%)がその決定は自分で行うと答えた.「現在何らかの苦痛を持っているか」という問いには107名(22.2%)があると答えた.緩和ケアについての認識では,緩和ケアのことを「知っている」と答えた者は60名(12.5%)に過ぎず,一般人へのがんの緩和ケアの認識の調査に比べて明らかに少なかった.今後,透析患者に緩和ケアについて啓発を進める余地が十分にあると考えられた.

症例報告
  • 森田 真理, 坂本 理恵, 大城 絵理奈, 嘉山 郁未, 菊池 恵理華, 河原 英子, 筑田 理絵, 住友 正和, 木田 達也, 坂下 博之 ...
    2022 年 17 巻 4 号 p. 135-139
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/06
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    【緒言】メサドンを用いたがん疼痛緩和治療の経過中に全身麻酔下で手術を行った2症例を経験した.【症例1】57歳女性.多発骨転移を伴った右進行乳がんで疼痛治療にメサドンを導入し,化学療法の経過中に右乳房切除術を行った.創部痛で臨時の鎮痛薬を用いたがメサドン休薬によるがん疼痛の増悪はみられなかった.【症例2】76歳男性.肺腺がんの痛みにメサドンを導入した.化学療法経過中に腰椎転移で下肢麻痺切迫状態になり除圧固定術を施行した.術中の痛みの増悪にケタミンを用い,麻酔覚醒後の痛みの再増悪にはフェンタニル注の持続注射で対応した.【結語】メサドンは従来の強オピオイドで緩和困難な強いがん疼痛に用いるが,本邦では内服薬のみの認可で他のオピオイドとの換算比がないため,周術期等の休薬が必要な期間の痛みの管理には注意を要する.したがって,メサドンの処方医はメサドン内服中の患者の周術期の円滑な痛みのコントロールにも積極的に貢献することが望まれる.

  • 田崎 裕太郎, 牧野 謙二, 大塚 哲洋, 中村 太祐, 北村 慶, 宮﨑 敦史, 藤本 俊史, 杉尾 小百合, 今村 祥子
    2022 年 17 巻 4 号 p. 141-145
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/12
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    電子付録

    症例は67歳男性.切除不能進行胃がんへの化学療法が奏功せず,外来にて症状緩和を行っていた.自宅で過ごされていたが,体動困難となり,救急外来を受診.Hb値3.4 g/dlと高度貧血を認め,進行胃がんからの出血と診断.入院のうえ緩和的放射線治療を開始したが,連日輸血を行うもHb値は改善せず,入院4日目の内視鏡検査にて漏出性出血(oozing bleeding)を認めた.入院11日目のHb値2.8 g/dlであり,照射継続での止血は困難と判断し,同日に血管塞栓術(TAE)を施行した.TAE後は輸血にてHb値8.0 g/dlまで改善.その後,輸血は不要となり,入院28日目に転院となった.出血性進行胃がんに対する緩和的放射線治療の高い有効性が報告されているが,奏功しなかった場合の救済治療に苦慮することがある.緩和的放射線治療が奏功しない出血性進行胃がんに対し,TAEが有効な救済治療となった1例を報告する.

活動報告
  • 大森 崇史, 柏木 秀行, 井上 修二朗, 古川 正一郎, 下見 美智子, 宮崎 万友子, 原田 恵美, 廣木 貴子, 岡 佳子, 堤 一樹 ...
    2022 年 17 巻 4 号 p. 165-170
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/24
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    電子付録

    心不全患者に対する緩和ケアの必要性が注目されているが,まだ国内では提供体制が十分に整っていない.飯塚病院は福岡県飯塚市に位置する1048床の急性期病院であり,同院において心不全の緩和ケアを提供するためにハートサポートチーム(HST)を創設し,心不全緩和ケア提供体制を構築した.2017年5月にHSTを創設後,2022年3月までに循環器内科から168例の心不全患者の緩和ケア介入依頼があった.介入事例のうち,緩和ケア診療加算の算定基準を満たしたのは25例(14.8%)だった.HSTの創設・運用にあたり,スタッフの確保,育成,持続する仕組みづくりが課題であると考えられた.循環器の専門職だけでなく緩和ケアや精神ケア等を専門とするスタッフと協働したHSTを創設することで,急性期病院で心不全患者に対する緩和ケア提供体制を構築する最初の一歩となった.

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