2008 年 3 巻 2 号 p. 326-330
がん性胸水に対して一般的には胸水穿刺, 胸腔ドレナージや胸膜癒着療法などを行うが, 成功率, 処置操作やカテーテル留置に伴う苦痛の程度や入院期間などにおいて必ずしも満足される結果が得られているとはいえない. 今回われわれは高齢者肺がん患者に生じたがん性胸水症例に対して皮下埋め込み型の胸腔―腹腔シャント造設を行い, 患者の希望する在宅移行に有効であった症例を経験した. 本法はがん性胸水に対する緩和医療, 特に在宅緩和医療の有効な手段の1つとなりうる可能性がある. Palliat Care Res 2008; 3(2): 326-330