日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第49回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 14
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第49回大会 口頭発表
小学校における教科担当教員と栄養職員(教諭)の連携による食育の実態と課題
*鈴木 洋子阪口 美香谷口 明子
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抄録

【目的】
 報告者は,これまでに小学校における調理実習が,生活科や総合的な学習の時間を通して拡充されてはいるものの,調理題材が調理技能の難易度に配慮することなく体験を重視して採用されているために,技能の習得や食品理解の観点が欠落するなど,多くの課題を抱えていることを表出してきた1)2)
 2005年に発足した栄養教諭制度を肯定的に受けとめ,小学校における食育をより効果的に進めるためには,家庭科を筆頭とする教科担当教員と栄養職員(教諭)の職域,職分に立脚した協力と連携が不可欠である.これまでにも,「家庭科と栄養教諭の連携」の視座から,全国の都道府県別の栄養職員数や栄養教諭の採用状況,食育の実施の有無等の報告がある3).報告のなかでの授業実践例の紹介は,栄養職員が帰属する団体の紀要等に止まっている.
 本報告においては,教科担当教員と栄養職員(教諭)が協力して食育を進めていく上での課題を明らかにすることを目的に,栄養職員(教諭)一人ひとりの取り組みを調査した.
【方法】
 2005年8月に奈良県で実施された栄養教諭認定講習会に参加した栄養職員91名を対象に,留置き法によるアンケート調査を実施した.主な調査項目は,食に関する指導の授業実践の有無,有りの場合の教科名・学年・指導方法(ティームティーチングまたは単独担当)・内容・時間数,栄養職員(教諭)が授業に入りやすい要因,勤務場所(学校,学校給食センター等),勤務年数(通算と現在の勤務校),勤務校の規模,特別非常勤講師の登録の有無他である.
【結果】
・授業実践有りの栄養職員(教諭)は全体の85%であった.授業実践の有無と勤務場所による違いは認められなかったが,実践件数については学校勤務の方が多かった.
・授業実践の有無と勤務年数(通算),授業実践の有無と学校規模の間に有意差が認められ,勤務年数が長い栄養職員(教諭),学校規模が大きい方に実践有りが多かった.
・小学校における実践の約4割は学級活動・特別活動で,約3割が家庭科であった.学級活動・特別活動における指導内容は,「給食」が23%,「栄養・健康」が75%で,指導体制は単独が8割であった.家庭科における指導内容は98%が「栄養・健康」で,指導体制は単独が約5割であった.
・授業に入りやすい要因には,教科担当教諭からの依頼や受け入れに対する理解など,担当教員との個人的なつながりが上位回答を占め,学校全体や教育委員会のバックアップなどの回答は下位であった.

参考文献
1)鈴木洋子,生活科における調理の扱い,日本教科教育学会誌第17巻3号29ー34頁(1994)
2)鈴木洋子,小学校低・中学年における食育の現状と課題 -生活科,総合的な学習の時間,特別活動における調理の扱い-,日本教科教育学会誌第28巻3号、1-8頁(2005)
3)平成17年度(第19回)日本教育大学協会全国家庭科部門大会報告書,愛知教育大学,25-32頁(2005)
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© 2006 日本家庭科教育学会
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