がん性腹膜炎に伴い高度の嘔気・嘔吐があり, 通常の制吐薬でもコントロールが困難で, せん妄をきたした患者にハロペリドールとミダゾラムの持続静注を併用し, 奏効した症例を経験したので報告する. 症例は57歳の女性で, 原発不明のがん性胸腹膜炎で化学療法を施行したが無効となり, 大量の腹水が貯留した. 機械的腸閉塞はなかったが, 激しい嘔気・嘔吐が出現し, 制吐薬, オクトレオチドなどの薬物治療は奏効せず, せん妄状態となったため, ハロペリドールとミダゾラムの持続静注を併用したところ, 嘔吐回数が減少し, せん妄も改善した. いずれの薬剤も最大1.87mg/時の速度で投与したが, 重大な有害事象はなかった. これらの薬剤の併用投与は, 症例を選択して注意深く行えば安全に投与でき, 症状のコントロールに有効である可能性が示唆された. Palliat Care Res 2009; 4(1): 312-316