2013 年 8 巻 2 号 p. 248-253
【目的・方法】造血器悪性腫瘍で死亡した56例の診療記録から, 終末期と看取りの方針を誰が決め, 患者の意思決定を妨げる要因が何か, 看取りに関する事前指示の有無を調査し, 看取りの方針決定に関わった家族の語りを抽出した. 【結果】終末期の方針は45例で患者が決め, 11例では家族が代理決定していた. 患者の意思決定を妨げる要因は, 終末期では認知症が多く, 看取りでは全例が病状悪化だった. 看取りの方針は, 54例で家族が代理決定していた. 看取りの方針は49例がdo not attempt resuscitation, 7例が延命治療を希望した. 事前指示が7例で確認できた. 家族の語りから, 看取りの方針に関わる心理的葛藤が読みとれ, 事前指示がある家族からは心理的負担の軽減が示唆された. 【結論】終末期に比べ, 看取りの方針を患者自身が意思決定することは困難である. 事前指示の有用性について, さらに検討する必要がある.