抄録
【目的】せん妄を合併したがん患者に対する作業療法の効果を示した報告は少ない. 今回, がん性髄膜炎に伴うせん妄患者に対する作業療法によりQOLが向上した1例を経験したので報告する.【症例】原発性肺がんにがん性髄膜炎を合併した60歳代女性. 食事動作への支援とともに作業歴を聴取し, 趣味を考慮した作業活動を導入した. 作業療法開始から転院までの間, 認知機能やPSに変化はなかったものの, せん妄がありながらも作業中は集中して取り組むことができた. また, ライフレビューや他者との交流, 思いの表出を促していた.【結論】作業療法により, 焦燥・不安あるいは孤独感などの緩和につながり, QOL向上の一助になったと考えられる.