2021 年 46 巻 3 号 p. 211-219
膠芽腫は極めて速い増殖と強い浸潤性を併せ持ち,集学的治療によっても予後不良で新規治療の開発が待たれている.キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞(CAR-T細胞)療法は,モノクローナル抗体の抗原認識能力をT細胞へ付与する養子免疫細胞療法で,MHC非拘束性に強力な細胞傷害性を発揮する.近年,膠芽腫を対象としたCARが数多く報告され臨床応用が期待されている.本稿ではCARに関する基礎事項および造血器腫瘍での臨床使用に至る歴史につき紹介し,引き続き膠芽腫に対するCAR-T細胞療法の最近の発展につき概説する.