2022 年 47 巻 1 号 p. 1-6
最近10年間に経験した虐待が疑われる小児頭部外傷18例を検討し当院での取り組みを報告する.被虐待児の年齢や外傷種別などの臨床像は過去の報告と同様であった.一方当院での虐待防止委員会の取り組みとして,病院職員全体への啓蒙活動を充実させ報告の敷居を下げることで取り扱い件数が増え,児童相談所通告には至らずも育児支援を要するネグレクト事案などがあぶり出されることが増えた.小児専門以外の脳神経外科医も虐待を念頭に置いた診療と虐待に伴う社会対応を熟知する必要がある.