2022 年 47 巻 1 号 p. 67-71
頭痛,嘔気で発症した脳膿瘍に対して膿瘍ドレナージ術を行った8歳男児.術後経過良好で神経学的後遺症なく自宅退院した.原因検索で行った経食道心臓超音波検査でPFO所見を認めたため,術2か月後に経皮的閉鎖術を行い,術後3年半経過した現時点で再発なく経過している.PFOを有する脳膿瘍症例に対するPFO閉鎖術の再発予防効果を明確に示した報告は現時点ではないが,脳膿瘍は致命的な経過をたどりうる疾患であり,原因不明の場合は,経食道心臓超音波検査を検討し,状態を十分に考慮した上でPFO閉鎖術を検討すべきと考える.