2022 年 47 巻 4 号 p. 382-388
近年の当院でのOPHGに対する治療の実際を提示した.当院では以前より視神経視床下部神経膠腫ガイドライン第1版に沿った化学療法を優先し,必要に応じて機能温存を意識した手術を検討する治療方針で行っていた.化学療法には一定の効果を示しつつも,施行した全例でレジメンはfirst lineからsecond lineに移行しており,カルボプラチンのアレルギーの頻度の多さが継続の障害となっていた.third lineが存在しないことも喫緊の課題である.手術を行う症例は複数回手術が必要となることが多く,経過中に開頭術が必要となる場面が想定される.内視鏡を用いた経脳室アプローチでののう胞開放術や実質成分の部分摘出は低侵襲で神経機能を温存しやすく,腫瘍増大の時間を稼ぐというコンセプトに適していると考えられる.