症例報告
虐待による頭部外傷が疑われた乳児症例における眼球後極部網膜前出血の長期残存は視機能予後不良に関与する
2023 年 48 巻 1 号 p. 71-76
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2023 年 48 巻 1 号 p. 71-76
Abusive head traumaでは高率に眼底出血を伴うが，網膜前出血と視力予後との関連はよく知られていない．症例は7か月女児で，初診時けいれん重積状態であり，左顔面に皮下出血斑がみられ，頭部CTで急性硬膜下血腫が認められた．第2病日には両眼全周性に多量の網膜出血と両眼網膜前出血が認められた．他の眼底出血は第55病日までに消失したが，左網膜前出血は第104病日でも後極部で多量に残存していた．左眼では視覚感受性期に長期間黄斑部で視性刺激が遮断され，弱視から感覚性内斜視に至った可能性が考えられた．
