2023 年 48 巻 1 号 p. 77-81
12歳男児.開鼻声と嚥下困難のため近医受診し,右軟口蓋麻痺を指摘された.頭部MRIにて頭蓋内腫瘍が疑われ,発症14日目に当科受診した.発症8日目から症状は軽快し,当科受診時には開鼻声,嚥下困難は消失していた.頭部MRIではFLAIRで右延髄腹側に腫瘤様の等信号を認めたが,矢状断では認めずアーチファクトと判断した.造影MRIで右IX,X脳神経の造影効果を伴う腫大を認めた.先行感染はなく急速に神経症状の改善を認めたため,特発性軟口蓋麻痺と診断した.