2024 年 49 巻 1 号 p. 40-45
小児の脳幹部に発生する内在性占拠性病変の鑑別は治療を選択する上で重要である.本症例は頭部MRIで,橋に造影効果を伴う病変を認め脳腫瘍との鑑別が焦点となった.しかし,臨床経過とMRI所見は脳腫瘍としては非典型的であり,我々は侵襲的な手技や治療介入は行わず経過観察を選択し,完全寛解が得られた.画像の精査にて延髄を横断するDVAを認め,本症例の病態は延髄のDVAを背景に,流出停滞や狭窄が静脈圧の上昇を引き起こし,臨床症状や神経放射線画像検査の所見の出現に寄与したものと推察された.