主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:多胎をめぐる諸問題
回次: 11
開催地: 埼玉県
開催日: 1993/01/23
p. 19-23
はじめに
多胎妊娠の頻度は,Hellinの式によれば1/80n-1といわれているが,わが国における多胎妊娠の頻度はそれよりやや低く,およそ100例に1例の割合と考えられている1)。しかし近年,hMG-hCG療法による排卵誘発法やIVF-ETの普及により,多胎妊娠は増加傾向にある。事実,不妊症・不育症治療センターであり,かつ地域の周産期センターの機能も果たしている当科においては,一昨年の多胎妊娠の頻度はおよそ30例に1例,昨年は22例に1例と極めて高くなっている。
多胎妊娠の問題点は産科異常,新生児異常の多いことであるが,特に早産未熟児の出生は問題であり,これを予防することが多胎妊娠管理の主題と考えられる。そこで,切迫早産のための入院期間を短縮し,早産を予防することを目的として,妊娠初期より管理しえた多胎症例全例に予防的Shirodkar氏頸管縫縮術を施行し,その有効性を検討するために,予防的Shirodkar氏頸管縫縮術を施行した群(A群)と,予防的Shirodkar氏頸管縫縮術が施行できなかった群(B群)との成績を比較した。