主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:多胎をめぐる諸問題
回次: 11
開催地: 埼玉県
開催日: 1993/01/23
p. 25-31
はじめに
妊婦は「出産」に大きな期待をいだいている反面,全妊娠期間を通じて絶えず不安につきまとわれている。それが双胎となると,早産や微弱陣痛,それからくる帝王切開という心配,さらに育児や経済的負担といった,単胎とは異なったさまざまな精神的動揺に直面する。しかもそのような動揺は,ほとんど双胎と診断された途端に始まり1),単胎の妊娠を告げられて素直に喜ぶのとは,いくぶん異なった感情が認められるようである。
これらの不安に対し,我々は外来診療時でのカウンセリングや病棟での24時間体制での電話相談などで対応しているが,妊婦自身の不安を解消するのは,なお容易ではない。
そこで,妊婦自身のこのような不安をとり除く一助として,お互いの悩みや情報を交換し合う場を設けることを検討しているのだが,そのために,双子を出産されたお母さん方が,どのような悩みをかかえているかということを,東京と青森を中心に調べてみた。
題して「育児状況と諸問題」とさせていただいたが,本稿では育児問題に加えて,古くからわが国で双胎がどのように考えられていたか,また,双子の育児に関して今何が問題になっているか,さらに双子の母親の会として,20年以上も活動を続けているツインマザースクラブなどについても言及したいと思っている。