主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:胎児・新生児の予後に影響を及ぼすウイルス感染
回次: 18
開催地: 東京都
開催日: 2000/01/22 - 2000/01/23
p. 39-43
緒言
本邦ではサイトメガロウイルス(CMV)の抗体保有率が高く,妊娠中に初感染を受ける可能性は少ないとされてきた。しかし,近年妊婦のCMVの抗体保有率が低下してきたとの報告1)があり,先天性CMV胎内感染症の報告が散見されるようになってきた。先天性CMV感染症のうち,症候性感染症児は約80%に予後重篤であり2),無症候性感染症児においても10~15%に重篤な神経学的遅発障害をもたらす3, 4)。なお,無症候性感染症児においては生直後の確定診断が困難な場合が多く,胎児期の所見から先天性CMV感染症を疑わせることがある。そこで,今回先天性CMV感染症の2例,妊娠初期初感染の一例,そして妊娠中妊婦CMV.IgM弱陽性の2例の計5症例を報告し,さらに妊婦CMV抗体保有率と妊娠中の初感染率を検討することから,CMV胎内感染症発症の予知と予防に寄与することを目的とした。