主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム
回次: 2
開催地: 東京都
開催日: 1984/01/21
p. 102-113
I 無脳症(anencephaly)
出生後はもちろん,出生前においても本症の診断は容易である。
出生後の外観はわずかに後脳(hind brain)を中心とする神経組織(neural tissue)が後頭部に残されているのみで,グロテスクな“ひきがえる様”と表現される顔貌を呈する(図1a, b)。
ところで新生児期の中枢神経系の先天奇形の中では,本症が最も頻度が高く(表1),欧米では本邦に比較して2~3倍の高率で発症することはよく知られている1)。幸か不幸か本症は生後2~3日以内に死亡するので,延命させるべきかどうかなどの倫理的間題は少ない。