周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第21回
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シンポジウム午前の部
鹿児島県における周産期医療システムの変化とその効果
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p. 51-60

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抄録

 はじめに

 鹿児島県のハイリスク新生児の約90%を収容する鹿児島市立病院の周産期医療センターの新生児部門である新生児センターは,これまで60床(NICU12床)であったが,児の救命率の向上によるNICUベッド占有期間の長期化や多胎児の増加によるNICU入院数の増加から慢性的なオーバーベッド状態で,入院受け入れが困難な状況が続いていた(図1)。

 そこで,平成8年から始まった日本母性保護産婦人科医会鹿児島県支部の先生方の街頭署名運動をはじめとする熱心な運動により,鹿児島市立病院新生児センターにNICU20床の増床と新生児用ドクターカーの設置する旨の陳情に対する鹿児島県民約12万人の署名が集まった(図2)。その陳情が,鹿児島県議会,鹿児島市議会で採択され,平成12年の10月には,新生児センターの改築工事が終了し,総病床数80床(NICU32床)になり,鹿児島県(出生数年間約17,000人)の新生児医療の三次医療施設の収容能力は,鹿児島大学医学部付属病院と併せて十分なものになった(図3)。また,平成13年3月からは,保育器2台と人工呼吸器を装備した新生児専用ドクターカー(こうのとり号)(図4)が導入され,それまでは,救急隊による母体搬送と新生児搬送に頼っていた県内の一次および二次周産期医療施設と三次周産期医療施設との連携が円滑に行われるようになった(図5)。

 そこで,このような周産期医療システム導入による鹿児島県の新生児死亡率や周産期死亡率などの周産期医療の変化について,導入以前と比較検討し,また,今後の残された課題についても検討した。

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© 2003 日本周産期・新生児医学会
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