主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:母児の予後からみた娩出のタイミング
回次: 22
開催地: 愛知県
開催日: 2004/01/23 - 2004/01/24
p. 59-65
緒言
脳室周囲白質軟化症(PVL)は早産にて出生した低出生体重児に発症し,後に脳性麻痺,特に痙性両麻痺,痙性四肢麻痺の原因となることが多いため,その病態と発症時期の解明や予防は臨床上重要な課題である1)。また最近では,脳性麻痺だけでなく,てんかんや視力障害,精神発達遅滞との関係も指摘されている2)。従来,PVLは脳動脈の分布境界領域での虚血がその原因と考えられてきたが,最近のMRIによる検討では脳全体に及ぶ病変であることが示唆されるようになった3)。今回我々は低出生体重児において後大脳動脈という側脳室三角部に血液を供給する血管の平均血流速度を測定するとともに,同時に他の各脳動脈においても血流速度を測定し,得られた結果について正常例とPVL例とを比較検討した。その結果よりPVLの病態やその発症時期について考察した。