主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:母体・胎児・新生児の心肺機能低下時の反応と対応
回次: 24
開催地: 埼玉県
開催日: 2006/01/20 - 2006/01/21
p. 11-18
系統樹の最上に位置する哺乳類は,育児を通じて親から子へと知識を伝達することから,その優位性を保つことができるようになったが,そのために頭囲の割合は大きくなった。またヒトは二足歩行するために,骨盤の前後径が短くなり,かつ恥骨結合を今以上に広げることができない構造になっている。それゆえヒトは分娩時には他の動物に比べて非常にリスクを抱えており,程度の差はあるとしてもいずれも虚血再灌流を呈しているものと考えられる。
出生時の適応障害で最も深刻なものは新生児仮死であり,その病態解明と治療法の開発が,重要な課題の一つになっている。今日まで我々は,新生児仮死の主な病態は虚血再灌流障害であり,好中球が産生する活性酸素種のスーパーオキシドアニオン(O2-)が,その主要な増悪因子の一つであるとの仮説に基づき様々な検討を行ってきた。まず最初に新生児仮死にヒト好中球がどのように関与するかについて,ヒト好中球O2-産生能および接着蛋白などから検討し,引き続き動物実験における肺および網膜組織内の活性酸素産生能についてin vivoにて検討した。