周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第24回
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シンポジウム午前の部
新生児に対する酸素曝露の影響の検討
―酸化ストレスマーカーを用いた検討―
加藤 英二茨 聡丸山 有子徳久 琢也松井 貴子下野 隆一楠本 雅寛切原 奈美後藤 俊二川畑 宜代熊澤 一真丸山 英樹谷口 博子小林 康祐池ノ上 克
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p. 19-25

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抄録

 はじめに

 活性酸素,フリーラジカルは,正常な状態では産生されても,生体内の抗酸化能により消去される。しかし,その産生が生体の抗酸化能を上回る場合,脂質の過酸化,機能蛋白の不活化,DNA損傷による細胞障害,いわゆる酸化ストレスが引き起こされる1)。酸素は,生命現象を営むうえで絶対必要不可欠なものであるが,過剰な酸素は,oxygen free radicalを発生し,酸化ストレスの原因となる。

 新生児は,子宮内の低酸素環境から出生後の高濃度酸素環境への変化と,蘇生時の酸素曝露のために,出生直後より酸化ストレスの影響を受けやすい状態となっている2~4)。また,新生児の抗酸化能は,未成熟であるため,その影響をさらに受けやすい状態となっている5~7)

 尿中8-hydroxy-2-deoxyguanosine(以下尿中8OHdG)は,活性酸素,フリーラジカルによるDNAの損傷で生じる酸化ストレスマーカーの一つである。DNA構成塩基の一つであるグアニンが,活性酸素,フリーラジカルによりC8の水酸化反応が引き起こされ,8OH-guanineに変化する。次に細胞内DNA修復酵素により切断,排出され,代謝,吸収されることなく尿中8OHdGとして排泄される。

 今回我々は,新生児における酸素曝露の影響について,酸化ストレスマーカーである尿中8OHdGを用いて,①出生前後における酸化ストレスの変化,②出生後の吸入酸素濃度と酸化ストレスの影響,③重症呼吸循環不全のためECMOを行った症例における酸化ストレスの影響について検討した。

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© 2006 日本周産期・新生児医学会
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