周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第24回
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シンポジウム午後の部
双胎間輸血症候群(TTTS)をおこした胎児・新生児の循環機能低下時の対応
中田 雅彦村田 晋平野 恵美子本田 梨恵砂川 新平三輪 一知郎住江 正大前場 進治杉野 法広村越 毅左合 治彦林 聡石井 桂介高橋 雄一郎
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p. 77-82

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抄録

 はじめに

 双胎間輸血症候群(twin-twin transfusion syndrome ;TTTS)は,一絨毛膜二羊膜性(MD)双胎の10~15%に合併し,羊水除去法を行っても約半数の児が周産期死亡ないし神経学的合併症を有する予後不良の疾患である1, 2)。その根本的な原因は,一絨毛膜性胎盤の血管吻合を通じた血流の不均衡であり,供血児が循環血液量の減少・乏尿・腎不全を引き起こし,受血児は循環血液量の増加により,多尿・羊水過多・うっ血性心不全・胎児水腫を引き起こしている状態を表す。診断には,従来用いられていた体重差や出生後のヘモグロビン差は用いず,MD双胎で羊水過多(最大羊水深度8cm以上)と羊水過少(最大羊水深度2cm以下)を同時に認めればTTTSと診断してよい。

 TTTSに対する治療法として,羊水過多を是正する目的で羊水除去が行われている。同治療により児の生存率が50~60%に改善するとの報告もあるが,妊娠継続期間の延長が主たる目的で,生存児の20~25%が神経学的後遺症を合併し,決して満足のいくものではない。近年,わが国でも血流の是正を目的とした胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(Fetoscopic Laser Photocoagulation ;FLP)が行われるようになってきた3~6)。わが国での治療成績の概要を紹介し,その効果と問題点について考察する。

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© 2006 日本周産期・新生児医学会
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