主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:母体・胎児・新生児の心肺機能低下時の反応と対応
回次: 24
開催地: 埼玉県
開催日: 2006/01/20 - 2006/01/21
p. 71-75
はじめに
近年における心疾患全体の予後の改善に伴い,妊娠可能ないし希望の心疾患女性は増加しているが,心疾患を合併した妊娠の場合(全分娩の約1%)は,母体と胎児の死亡率,有病率に大きく影響を及ぼしている1)。また,診療の現場では心疾患女性の妊娠・出産に対して,これまで症例研究,教科書的記述,そして医師の個人的経験に基づいた対処がなされていたが2),周産期専門医や循環器専門医を中心としたチーム医療体制の向上により,心疾患における妊娠の可否条件や周産期管理については,ほぼ一定の見解が得られつつある3, 4)。
しかしながら,心疾患合併妊娠における妊娠中の心機能の経過については,いまだに詳細な検討が行われていないのが現状である。そこで心疾患合併妊娠において,特に心機能低下に至った臨床経過を明らかにすることを目的に,後方視的検討を行ったので報告する。